井上昌が地元記念連覇
今年も地元記念にかける井上の執念が結果となった。武田豊、浅井康らライバルたちは準決勝で敗退。吉本、山田ら九州の援軍がこぞって勝ち上がり、井上を盛り立てた。「去年(の決勝)は同級生と先輩、今年は後輩のおかげですね」。開口一番、井上は前を回った後輩の頑張りをねぎらった。
「赤板で(野原と)やり合わなかったんでね。(番手まくりが)もう少しググッと出るかと思ったけど、山田もキツそうだったから。とりあえず勝ててよかったです」
7月寬仁親王牌の落車からスランプにおちいった。「怪我自体はひどくなかったけど、首がおかしくなって力が入らなかった」。競輪祭と今大会に向けて、調子を上げて行くはずが競輪祭は「イマイチだった」と、まさかの結果に。それでも舞台が地元に変わると、別人のような力と勝負強さを発揮した。
「直前まで成績に表れなかったけど、ここは気合を入れてよかったです。何とか地元で優勝できたし、連覇はなかなかできないんで」
スピードと勝負強さは天性のもの。これから井上が再び九州勢をリードする。
九州ライン4番手を選んだ岩津はピタリと井上を追走。「今回は2着でも優勝です」と勝った井上を祝福する。
「今回は山田のデキがそこまでじゃなさそうだった。井上さんは余裕がありそうだったし、最後は(山田の)内を行かないとないかなって感じでしたね。仕方ない。僕は前に任せてたし、うまくワンツーも決まった。一番人気だったし、ヨシかな」
後閑マークから直線で内に切り込んだ中村が3着に食い込んだ。
「最後は内しかなかったし、あの着で精一杯ですね。(状態も)だいぶよくなってきたし、とりあえず今回はよかった。また頑張ります」
野原は九州勢の2段駆けに猛然と立ち向かった。
「どうしようもないですね。前もかかってて、ホームで行くのもけっこうキツかったです。結果1コーナーの上りになったし、もっと早く仕掛けられたらよかったけど」
昨年大会決勝では九州勢分断に出た後閑の出方も注目された。
「今年はタテで勝負しようと。野原くんと九州で踏み合ってくれればと思ってました。あのまま岩津の後ろについててもね。淳のコースもあるし自分も踏みたかったんで悔いはない」
井上の地元優勝に貢献した2人はホッと胸をなでおろす。先頭を任された吉本は「作戦どおり。本当はバックまでもちたかったけどね。失敗するわけにはいかないし、昌己さんが優勝してくれてよかった」。山田も「ハコを回してもらって絶対ミスはできない。連日、いいとこ見せられてないんで、これが次につながれば」と笑顔で振り返った。