稲垣裕が8年ぶり地元制覇
地元の牙城は揺るがなかった。近畿ライン3車で出切った時点で勝負あり。地元両者のマッチレースに場内は大きく沸いた。番手を回った稲垣が村上の追撃を振り切り、8年ぶりの地元記念制覇を果たした。
「周りの抵抗もすごかったけど、脇本君が強かったので、安心して付いていくことができました。村上さんとゴール前勝負を演じさせてくれた脇本君に感謝ですね。吉澤君が4番手で見えていたし、連日の強さからあれ以上待つと自信がなかったので早めに踏ませてもらいました。地元記念は特別な思いがあるので本当にうれしいです」
これで獲得賞金額は5千万円を超え、2年連続のグランプリ出場に大きく前進した。
「賞金のことはあまり考えてません。結果でしかないですからね。このあとはG1もあって大事なレースが続くので、気持ちを切らさないようにします」
悲願のG1制覇へ、進化を続ける稲垣が勢いそのままに突っ走る。
5度目の地元記念制覇を狙った村上はライン3番手から気迫の中割り勝負。稲垣に詰め寄った。
「真剣勝負をしました。油断していたら中割りで抜こうと思っていた。早めに車間を切って、内か外か迷っているときに稲垣が前に踏んだので、その差ですね」
地元の前で迷いなく攻めた脇本は直線で力尽きた。
「別線の踏み合いは想定外でした。出切るのにけっこうきつかったんですが、僕の仕事は主導権を取ることなんで、何が何でもという思いで行きました。後ろからの気迫がすごくて、最後は気迫負けですね」
初手から近畿ラインを追った吉澤が地元コンビに続いて確定板に上がった。
「2番車だったので、最初から近畿の後ろにいこうと決めてました。ワッキー(脇本)のカマシのスピードがすごくて、脚を溜められなかったし、余裕がなかったです。単騎で難しいレースでした」
正攻法に構えた山崎は打鐘前から阿竹を突っ張って全開で踏んだ。
「あれしかなかったですね。(阿竹に)斬られたら、そこをワッキー(脇本)に行かれて、後ろになっちゃいますから。単純なレースになるよりはと思って突っ張りました。力不足ですね」