横一線のゴール前勝負を制す
先行態勢に入った吉田拓矢に最終ホーム手前から松浦悠士がカマシで襲いかかり、ラスト1周は両者で意地のぶつかり合い。2コーナーから仕掛けた渡邉雄太が前団を飲み込むと、続いた村上博幸がゴール寸前で渡邉をとらえた。
「渡邉君が好きなように走ってくれれば良かった。松浦君が巻き返して来たので、(渡邉の)前に入るんだなと思ったら、そのまま行った。他のラインも積極的で吉田君ラインを簡単に駆けさせなかったのが勝因につながった。渡邉君も攻めてくれたしね」
ゴールは横一線。村上自身も「(ゴール後の)VTRを見ても(1着を)自分で信用できなかった」と振り返るほど、僅差の争いだった。
「絶好すぎて久しぶりに4コーナーから緊張した。平塚記念(決勝戦)もそうだけど、最近は落ち着き過ぎたり、入れ込み過ぎてたりで差せる展開を自分でずらしてたのを感じてた。4コーナーまでの楽さほど伸び切れてないなと。抜いた感じはあったし、手を挙げたかったけど」
ビッグレース優勝は2014年2月の全日本選抜以来。今年からS班に返り咲いたが、「チャレンジャー精神」を心掛けて一戦一戦戦っている。優勝してもその気持ちは変わらない。後半戦の好スタートを切った村上が、ここから一気に攻勢に出る。
こん身の2コーナーまくりで前団を飲み込んだ渡邉雄太。3度目のビッグ決勝で頂点に立ったかに見えたが、わずか8分の1輪差に泣いた。
「松浦さんが行ってくれて、ちょうどいい展開になった。松浦さんが自分のところに来てたら終わってたけど。松浦さんの動きについて行って、誰かの気配を感じて踏んだ。でも、そこでいっぱい。最後も死ぬ気で踏んだけど。今シリーズは調子のいいほうではなかったけど、走れたと思う」
中川誠一郎のまくりは不発に終わったが、諦めずに外を回した園田匠が佐藤慎太郎を微差とらえて3着に。
「 誠一郎さんは(1コーナーで)後輪が飛ばなければ間違いなく行ってた。あれがなければワンツーでしたね。小倉さんもいたし、内がどうかを見すぎた分、届かなかった。でも自信になりました。慎太郎さんに差し負けなかったし、もっといけると思う。楽しみです」
最終ホームから終始かぶってしまった平原康多は出し切れずに7着に敗れた。
「直線で通過されると厳しいですね。もう少し遅めなら、コーナーで何とかできたけど。あそこで脚を封じられた。力を出せずに終わって悔しい。全てのタイミングが悪い方向にいってしまったなって感じかな」
松浦悠士は2段駆けも可能な関東勢にもう然と襲いかかった。
「雄太が空けたらインガマシだし、番手まくりの上は現実的ではない。叩けるときに叩くつもりだった。見せ場は作れたけど、抵抗を受けた分ね。しっかり動けたのでヨシとします。あとはもう少し持つように練習しますよ」