やっぱり平原康多、7度目の大宮記念V
ホームバンクの長い直線、番手から追い込んだ岡村潤との勝負。平原康多が岡村に並んで、ハンドルを投げたところがゴールだった。
「岡村さんのけん制もあったし、(岡村が)合わせたのか同時に踏んだ感じだった。届くかなっていう感じだったけど、意地で踏み切った。(ホームバンクの)見えない力があるのかな」
3年ぶり7度目の大宮記念制覇。最後のひと伸びを仲間、地元ファンが平原の背中を押した。
2日目の二次予選から3連勝の今シリーズ。唯一、土がついた初日特選はスタートでのミスが大きく響いた。それだけに細心の注意を払って周回中の位置を確保。5番手から進めたレースプランが、最終的に絶好位をもたらした。
「(2日目、準決と)昨日まで黒沢(征治)が頑張ってくれて、決勝に連れていってくれた。それに応えようっていう気持ちだった。初日スタートで失敗したので、かなり気合が入った」
打鐘の2センターで小川真太郎を押さえて出た平原は、南関コンビを受けて3番手を手に入れる。無傷の3連勝で勝ち上がった岩本俊介がレースをつくり、風を切って踏み上げていくと5番手以下の選手にチャンスはなかった。
「(3番手を取るのに)脚を使ってだったし、岩本がすごい強かった。(最終)2コーナーではまだ踏み上げていたんで、(仕掛けて)行ける感じじゃなかった」
追い込み勝負を選択しての通算21度目の記念V。昨年、グランプリからのハードスケジュールのなかで、地元の重責を一身に背負い結果につなげた。
「ハイレベルな競輪になって、自力で戦うっていうことは大変。それでも自力で勝てたっていうのは、やってきて良かった。(グランプリ3着、年明けの立川記念の決勝2着で)まだまだ足りないなって思わされたんですけど、3着、2着、1着で良かった」
今年もS級S班として幕が開けた平原が、地元記念Vでほっと一息。笑みがこぼれる。
「(年間)6個あるG1の優勝を目指してですね。そのなかでG2があって、積み重ねで(その先に)グランプリがある。1年間、コンスタントに成績を残せるように。去年はグランプリに出られる(って決まった)時から練習、練習できてた。やっと期間が空くので、気持ちをリセットして、1回緩めますよ(笑)」
17年の全日本選抜以来のG1獲りへ。平原はしばしの休息からG1モードに入る。
「一泡吹かせたかったんですけどね…」とは、岡村潤。スピードに乗せて先行する岩本の番手から追い込んだが、平原との伸び比べに半車輪屈した。
「(岩本)俊介があそこまで行ってくれたんで、結果的にはもうちょっと(車間を)空けられれば良かった。俊介の掛かりも良かったけど、(平原が3番手にいて)嫌な気配だった。平原が空けてるがわかってたんで、詰める勢いで来られてたら対処できないですからね」
5番手の小川真太郎が最終2センターで外に持ち出すと、岩津裕介は俊敏なコース取りで3着に伸びた。
「(最終)バックは踏み上がっていったし、後ろは仕掛けられないだろうなと。スピードが出てたんで、自分も外は無理ですね。できたら、もう1個内にいけたら良かった」
平原に3番手に入られながらも臆することなく逃げた岩本俊介は、完全Vこそならなかったが別線をクギづけにしてインパクトを残した。
「(岡村と)2人のベストは尽くせた。4日間で一番いいレースができた。やれることは全部やったし、うまくやったと思った。でも、相手が強かった」