ラインの力で松浦悠
ラインの力が個の力を上回り、中四国5車結束の3番手から松浦悠士が昨年12月広島以来、14度目のG3優勝をつかんだ。
石原颯を先頭に5車で連係した中四国勢。復帰したばかりとはいえ、脇本雄太を倒すには結束することが最善の策だった。石原が赤板ホームから誘導を降ろして全開で駆け、別線は巻き返しにいけるタイミングがない。宮本隼輔は吉田拓矢、脇本が仕掛ける前に最終2コーナーから番手まくりを打つ。中団の吉田も、脇本でさえも仕掛けられない。完全に中四国勢がレースを支配した。
「(脇本を)意識し過ぎず、慌てずに、石原君には残り2周半から駆けるとかじゃなくて、落ち着いていってほしかった。石原君のカカリがすごくて、さすがに来れないだろうなと思っていました。(番手まくりに出るのは巻き返しが)来てからでは遅いと思っていました。宮本君を残せるかは自分の判断だった。宮本君のカカリがよくて強かったですね」
4コーナーを絶好の態勢で回ってきた松浦が宮本を差し切って優勝。吉田-宿口陽一のSSラインと、脇本-古性優作の近畿最強ラインに何もさせずにつかんだ優勝は、いよいよ始まる今年のG1戦線に向けても大きな意味を持つ。
「まだ2月なんですけど、やっと勝てたっていうのがある。去年や、一昨年は一発目(の記念)で獲れたので。やっと獲れたなって気はしてる。ずっとよくないって言われていたし、結果を出さないとと思っていた。吉田君と脇本さんはG1の決勝で当たる自力選手。そういう人を相手にワンツーが決まったってことは特別でも自分たちの競輪ができる。ライン5車で力を合わせて勝てたのがよかった。準決からフォームがバチッと決まって、ハンドルの握り方だったり、乗り方だったりが決まった。和歌山記念から右肩上がりで来れている。(準決で)自分の信念を曲げてでも勝ち上がった意味があった」
次走は取手での全日本選抜競輪。4度目のタイトル戴冠へ。「グランプリを獲って賞金王」を目標に掲げる松浦の22年がいよいよ始まった。
最終2コーナーから番手まくりに出た宮本隼輔が2着で、松浦とのワンツーが決まった。
「もう全部、石原君のおかげです。自分は何もしていないので。自分でもどこから踏んだかわからないくらいキツくて必死でした。いい追加になりました。自分の脚的にはまだまだですけど、ラインのおかげです」
吉田拓矢は初手は後ろ攻め。中団の脇本に追い上げて位置は取ったが、最終バックからの仕掛けで3着に入るのが精一杯だった。
「思っていた並びとちょっと違って後ろ攻めになってしまった。押さえにいっても石原君は突っ張るだろうし、脇本さんの所に追い上げれば引いてくれるかなって思ったので。ちょっと車間が空いてしまいましたね。空けたんじゃなくてニュートラルに入れようと思ったら石原君のカカリが良かったです。もう少し早く仕掛けたかったですけど、脇本さんも来ていなかったですし、難しかったですね」