好展開メイクでV奪取
2人のS級S班ら4車のラインになった吉澤純平が前団に構える。8番手のポジショニングになった松浦悠士は、青板の手前から車間を空けはじめて2コーナーからフルダッシュ。吉澤の突っ張りの芽を摘んで先頭に立った。それに呼応するかのように、岐阜勢が仕掛ける。赤板過ぎに主導権を握った山口拳矢がグングンとペースを上げて、松浦は3番手を手に入れた。
「(吉澤と山口で)踏み合いになってくれればと思ってたんですけど」
こう振り返った松浦だったが、“他力本願”で別線の仕掛けアテにすることなく脚を使ってレースの流れをメイクした。
「(吉澤に)突っ張られたら終わっちゃうんで、2周半をカマすくらいの勢いで行きました。あのタイミングでいけば、(岐阜勢は)早めにいくかなと」
敢然と風を切った山口に別線が襲い掛かると、最終ホーム手前で竹内雄作が番手から踏み上げる。竹内との車間を切って間合いを取った松浦は、詰める勢いでまくって出る。余力を残して直線を迎えた松浦に強襲した平原康多の体が重なったところがゴールだった。
「あれで詰まって(仕掛けないで)後悔するなら、行った方がと。(優勝は)どうかなと思ったけど、(ファンの声が)平原さんによかったぞって聞こえた。それで行かれてしまったかなと。そしたら最後の方に僕(へのファン)の声が聞こえた」
最後は目いっぱい体をしならせて、ハンドル投げ。確信はもてなかったが、タイヤ差で平原を退けていた。
「正直、ギリギリでした。今回のメンバーで自力で戦って、優勝できるとは。平原さんも落車の影響があったにせよ、自力で4車のラインに勝てたっていうのは成長できているのかなと。今節はだいぶ疲れたのでしっかりと休みたい」
オールスターが台風の影響で1日順延。今シリーズが中3日とタフな状況下においても、抜群のパフォーマンスを見せた。今年の獲得賞金もすでに1億円を超えていて、4度目のグランプリ出場を確実なものしているが、応援してくれるファンのために松浦のモチベーションが下がることはない。
ライン3番手の平原康多は、自力に転じた宿口陽一が不発になって最終2センターから追い込んだが届かなかった。
「松浦君が強かった。山口君があんなレースをするとは思ってなかった。予想外だったけど、それを読み切ったというか、自分でそういう流れにした松浦君が強かった」
関東ラインの後ろを固めた和田圭は、最終3コーナー過ぎから平原の内を進出。直線の入口で小倉竜二にからまれたが、こらえて3着に入った。
「平原さんがどうするか見てた。(最終)3コーナーくらいからいけてればおもしろかったかなって。でも、小倉さんの壁は厚かったです」