郡司浩がVチャンスを逃さず
25年を立川記念から始動させた郡司浩平は、4戦3勝の準V。5シーズン目のS級S班も順調に滑り出したかに思われたが、「1着だけを狙って走るっていう気持ちを(今年の)課題にしているので2着じゃ意味がない」と、振り返っていた。それだけに今シリーズの4連勝の完全優勝は、大きな意味を持つ。
「(今年初優勝で)そんなにホッとしたところはない。目の前の1着を取りにいくっていうだけで、その結果だと思います」
展開が向いたと言えばそれまでだが、シリーズの道中は自力を交えて、取りこぼすことなく白星を積み重ねた。トップのこのレベルでは、それも並の芸当ではない。
「前にも後ろにもお世話になりっぱなしですね。深谷(知広)さんもそうですけど、岩本(俊介)さんのおかげで優勝ができた」
号砲が鳴ると見合うスタートのなかで、南関勢が前団に構える。勝負の赤板の標識線を過ぎて、深谷は九州勢を出させずに突っ張り先行。準決同様に深谷に迷いはなかった。
「(山田)庸平さんが来たのも早かったですし、(深谷は)引くかなっていうのがあった。そした(深谷が突っ張って準決の)昨日のパターンだなって。僕も腹をくくりました。(古性優作は)深谷さんが突っ張れば、どこかで追い上げがあるかなって。ジャンくらいで(古性が)しゃくられていたんで、踏みながら来るかなっていうのもあった」
打鐘で山田にさばかれた古性は、浅井康太にもすくわれて最終ホームでは一本棒の7番手。もっとも警戒しなければいけない相手は、窮地に陥っていた。が、今度は脚をためた山田が、3コーナーから踏み上げる。郡司は瞬時の判断で4コーナーで前に踏み込んだ。
「2コーナーで(別線が)来てなかったんで、また嫌なところで来るかなって。(深谷を)そこまで残しにいっちゃうと食われちゃうかと。それで優勝を獲りにいった。欲を言えば山田さんをしっかりと止めて、岩本さんとワンツーをしたかった」
直線は外から山田が詰め寄ったものの、着差以上に余裕のあるゴール。一昨年に次いで松阪記念を連覇。通算22回目のG3優勝で、今年は8戦7勝。中2日で追加配分の高松記念を迎える。
「グランプリが終わってから、レースでの悔しさをぶつけたいっていうのがあった。それで追加が来たんで走りたいなと。(これからも)目の前のレースをしっかりと勝つことだけですね」
昨年はS級S班陥落。2月の全日本選抜Vで早々に返り咲きを確定させた郡司にも、さまざまな葛藤があったのは想像に難くない。そして進化。今年の郡司は、ひと味もふた味も違う。
南関勢に突っ張られた山田庸平は、4番手に降りて内で古性と併走。好位でタイミングを取ると、まくり気味に追い込んだ。
「深谷君が前を取ったら、ほぼ突っ張るんだろうと。(突っ張られて)中団を取るか、外で止まるか、番手勝負かいろいろ考えていた。それで中団に入れたんで良かった。今日(最終日)に関しては余裕があった。(最終)2コーナーで(仕掛けて)行ける態勢だったけど、(前にいるのが)郡司君、岩本さんだった。それで(仕掛けが遅れたけど)かぶる前にと。郡司君も1着を取りにいく踏み方だったけど、そのわりに自分も同じくらい伸びた」
岩本俊介は、初日特選と同じ顔ぶれでの3番手。前の2人を盛り立てながら、ソツなく3番手の仕事に徹した。
「まずは絶対に内だけは空けないようにと。追い上げられたりしても、そこだけは死守をしようと。(深谷が)突っ張ってからの動きも、(別線が)削りながら降りてくるんでしっかり付けてと。(失敗すると)一番大事なところで台無しにしてしまう。最後まで我慢してれば、郡司もコースを空けてくれるだろうし、そういう信頼関係で3人でやっている」