• 名古屋競輪場開場75周年記念金鯱賞争奪戦3/1〜3/4

後記 GⅢ 名古屋 03/01

信頼の連係を実らせる

深谷知広

深谷知広

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 2月の静岡記念以来、今年2度目の記念制覇。21年から静岡に移籍してもなお、名古屋のファンは深谷知広に連日、熱い声援を送っていた。
 「(初日からファンの声援がすごくて)地元って感じがしました。愛知(籍)時代は名古屋(記念)を獲れなかったし、(獲りたい)想いはあったのでうれしかった」
 元ホームバンクの豊橋競輪場で行われた全日本選抜競輪から中3日で疲れ残る中での開催であったが、気持ちを切らすことなくシリーズを戦い抜いた。
 「気合の入る場が続いているので、ずっといい緊張感の中で走れています。懐かしい気持ちと、愛知県の選手と連係することができたので、懐かしい空気でした」
 前回の全日本選抜競輪を含めて、今年に入って深谷と郡司は4回連係して4回とも深谷が前回りであったが、今シリーズは初日から郡司が前回りを志願した。
 「郡司とはお互いどう折り合うかですけど、前回(全日本選抜競輪)は自分が前を回っていて、今回(の決勝は)は(郡司が前を回った)初日のことも含めてでした。(郡司とは)前でも後ろでもいい関係を作れれば」
 赤板過ぎに後ろ攻めの新山響平が誘導員を降ろして先頭に立ち、その上を小林泰正が叩く展開に。打鐘では郡司が後手を踏む展開となってしまったが、焦りは全くなかった。 
 「初日に(郡司の)後ろについていてすごい仕上がりだったので。どんな展開でも届くだろうなって思っていたので、前々に行ったときの自分の対処なりをずっと考えていました。ずっと1周、どんどんスピードが上がっていく中で、自分をリラックスさせて落ち着いて回っていました」
 最終ホーム手前から反撃に出た新山の動きに反応していった郡司が最終2コーナーからまくり発進。最終4コーナーで新山をとらえた郡司を直線で鋭く差し切った。
 「昨年末に(競輪祭で)失敗しているので、そのあと2回(郡司の番手を回って)しっかり後ろで決めることができたので励みになりますね」
 今年に入り南関勢の記念Vは今回で5個目と、勢いは止まることを知らない。これから連係精度をさらに高めていければ、他地区にとってさらに脅威となるだろう。次走は取手F1を予定しているが、そのあとは伊東競輪場で行われるウィナーカップが待っている。南関地区で行われる大会は譲れないはずで、結束力を示して他地区を迎え撃つ。

 全日本選抜競輪からの疲れを感じつつも開催中の過ごし方を工夫しながら調整していた郡司浩平。初日に続き深谷の前回りで、後ろには地元勢を引き連れる大事な先陣役となったが、冷静に勝負どころを見極めて別線を攻略し、見事に確定板を独占した。
 「(スタートは)前か中団で、関東勢は出ないと後方になってしまうし、(武藤)龍生が(スタートを)出ていたので、前になりましたね。あとは(小林)泰正が(先に)切るか切らないかで、新山なら(出させても)いいかなと。そこからはうまく(小林が叩くのを)見送って落ち着いて行きました。行くならジャンで泰正が行ったときにすかさず付いていけば良かったけど、新山も3番手でソワソワしていたし、(新山の仕掛けるタイミングと)合わないようにと思って、丁度(新山が)行ってくれたので。新山も踏む距離が短かったしカカっていたけど、新山の横で休めて何とか伸びた。(山内)卓也さんまで4番手に付いてもらっていたし、先手を取るレースをしないといけなかったけど、結果(ラインで)ワンツースリーで良かった。(深谷の)前を回る以上、積極的に行かないといけないけど、行くだけで終わりにはならいように臨機応変にでした。前でも押し切れるようにならないといけないし、G1でもラインで勝ち上がって決勝で連係していけるように」

 二次予選は深谷の番手を回り、準決は初連係となった郡司としっかりワンツーを決めた笠松信幸。決勝は勝ち上がりですごみを肌で感じていた南関コンビを信じて追走に専念した。
 「すごいスピードだったし、山内さんが後ろにいなかったら離れていたと思う。深谷のお尻と郡司の動きを見てと思っていたけど、雨で深谷しか見ることができなかった。後ろで付いていて、前の2人は余裕があったけど、僕は100%でした。これが現状ですね。(ゴール前は)あそこ(中コース)しかないなと入っていったけど、現状の脚の感じで伸びなかった。(地元ファンの)声援には感謝しかないし、お客様の力をもらって頑張れた。(今シリーズは)収穫があった4日間だったので、少なからず後輩にそれを伝えられれば」

Race Playback

レース展開4
 先に仕掛けた新山響平選手を郡司浩平選手が最終的にねじ伏せると、乗った深谷知広選手がゴール前で一気。

レース経過

誘導員 : 朝日勇

 号砲が鳴り響くと内枠の3車が飛び出し、郡司浩平が誘導員の後ろを占める。郡司浩平-深谷知広-笠松信幸-山内卓也の南関プラス地元勢が前を固めた。以下は小林泰正-武藤龍生の関東勢、単騎の山田英明、北日本勢の新山響平-大槻寛徳が後攻め。 青板周回の2センターで新山-大槻が上昇開始。赤板を目がけて勢いを付けていた新山に対し、正攻法の郡司はそれほど抵抗せず、新山が先頭に躍り出た。北日本勢を追っていた小林-武藤が新山を叩いて前に出て、ジャンは小林-武藤、新山-大槻、郡司-深谷-笠松-山内、山田の一本棒で通過。飛び付いて郡司ライン分断策も選択肢にあったのか小林があまりペースを上げなかったため、4コーナーで新山がスパート。気付いた小林は懸命に踏み込むが、最終1コーナーで新山が主導権を握った。北日本勢に続いていた郡司は2コーナーを立ち直ったところから踏み込む。新山のかかりは良かったが、郡司はじわじわと前に迫り、最後の直線の入り口で新山をとらえた。新山も内で抵抗して両者の踏み合いがゴール前まで続くなか、郡司をマークしていた深谷は、車を外に持ち出すと、素晴らしい伸びを披露し、あっという間に前を抜き去った。深谷は旧地元の名古屋記念初優勝を達成。郡司が2着、深谷に食い下がった笠松が3着に入り、混合ラインで確定板を独占した。

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