広島競輪場で開催された玉野競輪開設70周年記念「瀬戸の王子杯争奪戦」は松浦悠士の優勝で幕を下ろした。結果だけ見ればＳ班、松浦の貫録勝ちだが、太田竜馬の番手で記念初優勝を狙った取鳥雄吾や記念初優出の黒沢征治がそれぞれ見せ場を作り、見ごたえのある決勝戦だった。肉体改造で体重は５キロアップ。勝ち上がりでも積極的に仕掛けた太田は、昨年７月小松島以来となる記念の決勝をこう振り返る。

　「（初手の並びが黒沢ラインの前で）嫌な位置だったけど、しゃーない。出切るのに脚を使い過ぎて、後ろにはキツいペースになった。出れるペースで行こうと思ったら、黒沢さんもけっこう踏んだので。久々の記念決勝できっかけになりそうか？　うーん、どうなんでしょうね」

　決勝に勝ち上がった清水裕友に門田凌、中川誠一郎の３名がシリーズ３勝を挙げた。門田が負けたのは逃がされた二次予選だけ。松阪ウィナーズカップを前に、しっかりと勝てる展開はものにした。

　「今回の広島は気温も下がっていて重かったから自分的に良かったですね。３勝できたのは展開もありますけど、レースもしっかりと作れたし良かったと思う。今後の課題はトップスピードですね。やっぱりどうしても春から夏にかけて気温が上がるともっとタイムが出る。自分はまだまだトップスピードが足りない。練習でも11秒前半しか出せていない。10秒後半から中盤を出せるようにならないと勝てないですよね。トップスピードも持久力もまだまだですけど、トップスピードを上げることで結果的に今よりも長い距離スピードを維持できるようになると思うので」

　年末年始に脚を作り直す期間を取った中川誠一郎は今年初戦の２月小倉から３戦で６勝とハイペースで勝ち星を挙げている。

　「（今シリーズは）結果３勝になりましたね。今は脚的にはだいぶ余裕があるので。先行できるだけでも余裕がありますね。ここからまた点数を上げていかないと」

　城戸俊潔にとって初めての地元記念は８６１８着に終わった。

　「状態は悪くないけど、まだＳ級の流れに追いついてない。上がってからは、もうひとつ末の粘りが足りないなと思う。Ｓ級だったらどんだけ行っても11秒台では上がらないと。今回は勝ち上がれなかったけど、いい経験はできた。来年も出たいし、次は（取鳥）雄吾さんの前を走れるように」

　戸伏康夫は３日目に、一昨年１月松阪記念以来となるＳ級での勝ち星。地元記念を後半戦２連対で締めた。

　「今回は岡山のトップがいっぱい来てたんで色々セッティングとか相談した。最後は見るに見かねて勝手にセッティングを出してくれたり（笑）。（三宅）達也さんに言われてシューズも今回から換えたけど、それも馴染んできた。みんながサポートしてくれて、それに応えられたかな」