Ｓ級Ｓ班の新山響平をはじめ、オールスターで初戴冠の眞杉匠に直前の向日町記念を獲った北井佑季や犬伏湧也。今を時めく機動型が激突した決勝は、５車で結束した関東勢が数的有利を存分に生かして、逃げた眞杉の番手から自力発動の森田優弥が記念初Ｖ。関東劇場に他地区は出る幕がなかった。この流れが直後の共同通信社杯でも続くと、関東勢からグランプリ圏内浮上する新たな選手が出てきてもおかしくない。

　大川剛は地元、青森での共同通信社杯出場こそかなわなかったが、初めてのグレードレースで存在感を示した。前回の別府ではＳ級初優勝を遂げて、今シリーズは山崎芳仁、守澤太志、武田豊樹とネームバリューのある選手を番手に付けて、重圧との戦いでもあった。が、９車立て初経験とは思えない度胸の良さと落ち着きがあった。

　「（最終日は）昨日の反省を生かして、なるべくフカしすぎずに長い距離を踏んでももつように走った。でも、（２着で）最後はもうひと踏みがなかった。今開催はＳＳの守澤さんとも連係できて、Ｇ１で名前をよく聞く選手と戦えたし、間近でレースも見られて得るモノがあった。今開催に向けて勉強してきたつもりだったけど、脚力もそうだけど、組み立てとかもまだまだでした。帰ってから師匠（永澤剛）に話を聞いたりもしてみたい。脚力ももっと上げないといけないし、組み立てももっと勉強していきたい」

　「自分にとってはＧ１と同じ」と言う鈴木玄人は、念願のホームバンク記念を１着。一次予選は積極策で押し切り、平原康多、武田豊樹のワンツーをメイクした二次予選でも敢然と風を切った。しかしながら、３勝目を挙げた３日目では反省に終始した。

　「（３日目は岡田征陽、藤原憲征との連係から、インまくりで勝ったけど）お客さんから見たら、（二次予選で後ろが）平原（康多）さんの時は気風良く行って、（岡田）征陽さんの時に行かないのかって。自分としてはむしろ後ろが東京の先輩の時こそ、ヤル気を出さないとって思っている。（３日目は）自分のショボさが出ました。勝負から逃げているような走りになってしまった。悪い意味で番手の人を見て走っている印象を持たれてしまう。そういうのは自分にとっては嫌な選手像なんで。そうならないように」

　現在の獲得賞金ランクは７位。Ｓ班返り咲きに好ポジションにいる清水裕友だが、ここからがさらなるプレッシャーとの戦いでもある。２年連続で記念を獲っている相性のいい立川で決勝進出は逃したが、初日特選を含め３勝をマーク。最終日は飛び付きから番手を奪取しての追い込み勝ち。引き出しの多さが清水のストロングポイントでもある。

　「（最終日は）誰が一番最初に来るかでしたけど、根田（空史）さんが来た。切れ目で南（修二）さん、野田（源一）さんとこで粘るんだったら、ハコの方がと。イン粘りしたのは久々ですね。こういうのもやっていかないと。（今シリーズは）状態は悪くなかったけど、乗り方が日替わりだった。セッティングを出してみたけど、ちょっとまだズレがある。そういうところがかみ合てくれば」

　近況はＦ１戦でも高いレベルで安定して、勝ち星も積み重ねていた河野通孝は、３日目に鮮やかに突き抜けて、最終日も直線で強襲。伸びの良さが目を引いた。

　「４月から練習を変えたんですよ。４月は（あっ旋が）止まってたんで、いままでと違うことをやろうと思ってですね。練習を外でやってたのが室内をメインにした。その練習の成果が出て、かみ合ってきた。セッティングもあるけど、練習が充実しているのが大きい。（レースでは周りが）しっかり見えているのは大きいし、それが収穫です」