脇本雄と平原康が激突
昨年の競輪祭では、22年のオールスター以来となる約2年ぶりのG1Vを飾り、グランプリ2024に弾みをつけた脇本雄太。そのグランプリでは、脇本らしい豪快な先行で他を沈黙させた。赤板周回の2コーナーを立ち直ったところから仕掛けてジャン過ぎに先頭に躍り出ると、後続はまったく動けない。ハイペースで飛ばしたため、さすがにゴール前は末脚を欠いて3着に沈んだものの、古性優を優勝に導いた。輪界トップの先行選手であることを改めて示しただけに、今シリーズはファンの支持を集めるのは間違いない。ここは寬仁親王牌、競輪祭と続けて決勝で前を任せた寺崎浩平の存在も脇本には追い風だ。寺崎の動きを見極めながら、場合によっては自力に転じて新春をVスタートで決めよう。その寺崎は本業の競輪に専念したためか、ここに来て成績が安定してきた。11月四日市記念で準V、その前後の寬仁親王牌、競輪祭では決勝に乗っている。脇本に前を託されれば、主導権奪取に全力投球しよう。
この大会で圧倒的な存在感を示しているのは、地元の大将格である平原康多だ。59周年を皮切りに、計9回も主役を演じている。昨年は無念にも10年間維持していたSS班の座を手放したものの、ダービーで優勝し、グランプリに参戦した。すぐにSS班に返り咲いたのは立派の一言だが、ダービーの後は優勝がなく、終盤は立て続けの落車もあった。その中、年頭の1月立川記念では決勝3着。順調な回復ぶりなだけに、相性のいいバンクでさらなる上昇気流に乗りたいところ。ここは森田優弥、宿口陽一、武藤龍生らと連係して10回目のVにまい進する。
昨年は高松宮記念杯でタイトルホルダーの仲間入りを果たし、今年は新SS班となった北井佑季。しかしながら、後半戦は人気以下の成績が多く、失速気味となったのは不本意だろう。しかも今年初戦の立川記念では失格。勢いを取り戻すべく、飛ばしていくはず。南関勢は追い込み型が手薄なのは気になるが、対照的に北日本勢は自力型が少ない。守澤太志、和田圭が北井に続けばラインはしっかりする。パワーあふれる先行で別線を翻弄するか。
九州勢も嘉永泰斗、伊藤颯馬、井上昌己と戦力は整っている。2枚の自力型を擁しているので、幅広い組み立てが可能なのは強みだろう。軸になるのは嘉永だ。昨年は4月に川崎記念で3回目のG3Vを達成したものの、後半戦はGレースで特に目立った活躍はなかった。仕掛けどころは逃がしていないが、やや末脚が甘くなっていた感がある。とは言え、12月松阪の決勝で、藤井侑―浅井康の中部勢を快速まくりで仕留めた競走は力強かった。やはり自力攻撃の破壊力には素晴らしいものがある。伊藤はF1戦ながら12月別府、同月静岡(GPシリーズ)、1月高知と3連覇。波に乗っているので動向には注意したい。