不撓不屈・ボスの自転車人生

不撓不屈・ボスの自転車人生

後閑 信一 後閑 信一 ごかん しんいち 元競輪選手  平成2年4月に65期生としてデビュー。落車による大ケガや数々の困難を不撓不屈の精神で克服。第46回競輪祭、第15回寛仁親王牌、第56回オールスターとG1で3V。面倒見いい親分肌と風貌から〝ボス″と称された。平成30年1月引退。通算成績は2158戦551勝、2着311回、3着255回。

第22回 苦労したスタートダッシュ  2018年7月26日

 がむしゃらに練習に明け暮れていましたが、中々スタンディング200mのタイムは縮まりません。上手くスピードを立ち上げるにはどうすれば良いのか考えました。まずやった事は、師匠の新谷隆広さんや新撰組の先輩でダッシュ力のある人の真似をしてみようと思い、街道練習中やバンク練習などで見よう見真似でやってみました。当時は「身に付けたければ盗みとれ!」という時代です。コツを師匠や先輩方に聞くなんてあの頃の俺には考えられません。というより、真似をする事が凄く楽しく、強い選手の真似をしているだけで安心感が得られ強くなったようで気持ちも上がりました。
 その当時、新撰組で一番タイムを出していたのは、恩田康司選手で、恩田淳平選手のお父さんです。なんと、いつ計っても14・3秒前後は必ず出していたのです!あの速さを見たら俺のスタートダッシュなんてまるでスローモーション。なんて凄い人なんだ!一歩目からタイヤを唸らせながら速度を上げていきます。どう頑張っても16秒台の俺には想像も付かない世界です。踏めば踏むほど進まないということは何となく感じていましたが、先輩方の様に軽く進む技術に辿り着くにはまだまだ時間がかかりました。当時、高校2年生の俺はただひたすらハンドルを握りしめ、脚だけでペダルを踏んだり引いたりを繰返すだけでした。当時の俺に今の知識があれば(笑)。それなら誰も苦労はしませんけどね。それに近い事が出来るとしたら、指導者になり若手にその経験を伝えていく事だと思う。

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