不撓不屈・ボスの自転車人生

不撓不屈・ボスの自転車人生

後閑 信一 後閑 信一 ごかん しんいち 元競輪選手  平成2年4月に65期生としてデビュー。落車による大ケガや数々の困難を不撓不屈の精神で克服。第46回競輪祭、第15回寛仁親王牌、第56回オールスターとG1で3V。面倒見いい親分肌と風貌から〝ボス″と称された。平成30年1月引退。通算成績は2158戦551勝、2着311回、3着255回。

第25回 終盤は集団のど真ん中はヤバイ!  2018年8月15日

 前回の続きです。レース中、集団のまん中辺りでエアポケットに入り脚を溜めていた俺は、ウズウズしてきた。アタックを仕掛けて集団から抜け出そうと試みますが、前後左右の選手が邪魔で外へ出られません。集団の中は脚は溜まるが、接近戦で接触や落車に凄く気を使う良し悪しなポジション。終盤になると落車する選手が続出!西湖のロードレースは湖周りを走るコース。コーナーには落車した際に選手が湖に落ちないようガードレールに畳を並べてくくりつけてあったのが印象的でした。
 そこへ力尽きてハンドル操作を誤った選手が続々と転がりながらぶつかるのが見えました。集団の中にいると前で落車した選手に気づくのが遅れて何度も巻き込まれそうになります。このままでは危ない。脚力を残したままゴールでは悔いが残る!頭を上げて集団の先頭を何度も見ながら、先頭集団の流れを探しました。そして邪魔な隣の選手に声を出して威圧したり、肘を引っ掛けたり、膝で蹴っ飛ばしたりして(昔からそんな事ばかりしていました)(笑)。自分の進みたい方向へスペースを確保し、先頭集団の流れが向きそうなポジションへ車を進めました。体力が消耗した時にはいいけど、終盤にさしかかったら集団のど真ん中はヤバイ!というのがその時学んだ事です。普通のロードレースなら上り坂でバラけるので、抜け出すのも容易かもしれませんが、西湖は殆どが平地なので、ペースが上がらないと抜け出せません。そんな事を感じながらレースも終盤にさしかかろうとしていました。

ページトップへ