不撓不屈・ボスの自転車人生

不撓不屈・ボスの自転車人生

後閑 信一 後閑 信一 ごかん しんいち 元競輪選手  平成2年4月に65期生としてデビュー。落車による大ケガや数々の困難を不撓不屈の精神で克服。第46回競輪祭、第15回寛仁親王牌、第56回オールスターとG1で3V。面倒見いい親分肌と風貌から〝ボス″と称された。平成30年1月引退。通算成績は2158戦551勝、2着311回、3着255回。

第29回 プロ選手並みの3年生  2018年9月12日

 北海道初上陸にはしゃいで寝ずに朝を迎えた俺達は、疲れもなく函館競輪場へ向かいました。顧問の先生は俺達が一晩中遊び回った事など分からないくらい、元気とパワーが溢れていました。函館競輪場に到着!早速、自転車を組み立てて、配布された登録やゼッケン等を安全ピンでユニホームに着ける作業から始まります。その辺りから緊張感が湧いてきます。俺には清々しく、気持ち良いものでした。多分自信がある時の緊張感は心地よいものなのでしょう。逆に自信がない時は不安で逃げ出したい気持ちに襲われるので、やはり日頃の練習はしっかりとしておかなければならないと思ったし、追い込んだ練習をすればするだけメンタルが強くなる!ということも分かるようになりました。
 いよいよ自由練習の時間です。バンクにはかなりの生徒が走っていて、中々バンク内に入れないくらいでした。しかもみんなお揃いのチームユニホームを身をまとい、自信満々な表情をしています。俺達も負けじとレーサーに股がり周回練習から始めていると、後ろから普通ではない風きり音が聞こえて来ました。通りすぎた後ろ姿はプロの選手ではないかと思うくらいのガッチリした体格!「うわー強そうだなぁ~」と見ていると、どこかで見たような!?あーアイツだぁ~!仲間に偵察に行かせました。帰った仲間に名前を聞くと、秋田県の大曲農業高校の【有坂直樹】という1つ上の3年生とのこと。スプリントレースにエントリーしている事も知り、彼が気になって仕方がありませんでした。

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