高校３年生は俺の人生で一番の分岐点だった様に感じます。この年のインターハイ、国体、都道府県大会と勝たなければ競輪学校に技能免除で合格の権利は無くなり、技能免除でないと二次試験の学科を勉強する時間が無くなる。
　運命の時はやって来ました。新学期を迎え、新１年生が部活動の体験入部にあちこちの部活を回っています。育英高校は共学ですから女子も多くいます。俺は自転車部の部長になり、部員から自転車部にもマネージャーが欲しいという意見が出たので勧誘に乗り出しました。皆、年頃なのでやたらと積極的です。自転車部はどちらかというとガラの悪い部というイメージが強く、客引きさながらの勧誘です（笑）。金髪でリーゼントの俺がいたら自転車部の部室の前は誰も立ち止まらず、むしろ急ぎ足で通り過ぎてしまう。同級生の田中雄彦（元68期）の父親は往年の名選手、田中博さんです。彼も黒髪のリーゼントに眉毛は爪楊枝の様に細く極悪な面持ち！
　俺達２人は部室の奥に潜んでいました。自転車部のイケメン（大した事ないけど俺達よりマシ）を部室の前に立たせて、可愛い！と思った女子を部室に呼び、俺と雄彦の極悪コンビが審査！結構な人数が集まりましたが、極悪コンビの厳正なる審査のもと５人が選ばれ、更に最終的に３人に絞るオーディションが始まりました。部室の中に５人の女子生徒が入って来ました。部室の奥にいた極悪コンビの顔を見ると女子のお喋りがピタッと止まり、部室内は異様な静けさに…。次号に続く。