私がＳ級戦で初優勝したのは岐阜の準記念（今のFl戦）です。岐阜のメインは山口幸二選手でした。62期生で私より２つ年上の小柄な選手。当時は現在の様にインターネットの普及が進んでいませんでしたので、新人の私は前検日に初めて名前と顔が一致する状況でした。先ずは優勝候補の地元岐阜県・山口幸二選手を探してみました。小柄で茶髪でイケイケな感じ！という第一印象で、指定練習やレースを見ていても、クイックに自転車を操り、ブロックが派手で乗りこなしの上手い選手に見えました。予選スタートの私は、初日からジックリと山口幸二選手のレースを見て動きを観察しました。当時はレースダイジェストは宿舎ではやっていません。翌日の第１レースの始まる前の10時頃から場内用に流れるものしか見られなかったので（生のレースを選手達は窓に張り付いて見ている状態でした）。
　当時はイエローラインがありません。無制限に金網付近までブロックに行っていましたから、山口幸二選手のレースを見ると「あの外を最終BSから３コーナーでまくるのは非常に厳しい！」山口幸二選手に勝つ為には先行するか、早めのHSまくりで通り過ぎるしかない。デビュー当初、先行まくりの私はその２通りの作戦でした。結果、私が打鐘からカマす展開になりましたが、金網辺りまでブロックをされました。しかし、山口幸二選手の横を何とか通過して準記念（Fl）初優勝する事が出来ました。
　Ｓ級でのプロの道の険しさを感じた初優勝でしたが、やっばり賞金も当時21才の小僧からしてみればビックリな金額です！Ｂ級デビュー戦新人リーグ初優勝は手取りで20万円越え。Ａ級のデビュー戦初優勝は手取りで100万円越え。そしてＳ級Flのデビュー戦では優勝賞金は当時、４号地で１着賞金だけで160万円オーバーでしたので、源泉や会費を引かれても確か手取りで150万円オーバーはあったと思います。20代前半でこんなに何百万円も稼げる仕事で周りの人に悪いようだなあ～と、、、これから税金という年貢を納めなければならない事を知らず、全て丸儲け感覚でいた若かりし頃を思い出します（笑）。