不撓不屈・ボスの自転車人生

不撓不屈・ボスの自転車人生

後閑 信一 後閑 信一 ごかん しんいち 元競輪選手  平成2年4月に65期生としてデビュー。落車による大ケガや数々の困難を不撓不屈の精神で克服。第46回競輪祭、第15回寛仁親王牌、第56回オールスターとG1で3V。面倒見いい親分肌と風貌から〝ボス″と称された。平成30年1月引退。通算成績は2158戦551勝、2着311回、3着255回。

第8回 競輪の原点は【新撰組】  2018年4月18日

 私の競輪選手になろうとした理由を「親孝行がしたい」と答えたところ、新谷さんはそれ以上は何も聞かずその場で弟子にして下さいました。その日から私は新谷さんの名前を汚さないよう、絶対に強くなって新谷さんへご恩返しをしようと責任感と緊張感とワクワク感で毎日胸が高鳴っていました。新谷さんが率いる練習グループ【新撰組】にも入れて頂きました。当時、全国の競輪選手は4300人くらいで、その中でS級1班はたった120人。その120人しかいない中で、【新撰組】には新谷隆広選手・小林晃選手・高林秀樹選手・高橋光宏選手と4人も名を連ねる超スターグループでした。よく雑誌等の取材もありました。
 私の下積みはそこから始まりました。学校が休みのときは朝早く【新撰組】に行き、部屋の掃除やトイレ掃除、練習場の片付けから始まります。先輩の自転車を一台一台丁寧に磨きあげ、点検や整備(タイヤが切れていないか?車輪やフレームに亀裂は入っていないか?ブレーキは効くか?等)をします。そして先輩方の自転車を外に並べて、あとは先輩方の来るのをひたすら待ちます。先輩が来たら先ずは大きい声で挨拶「おはようございます。宜しくお願い致します!」。それからコーヒーを入れます。そして次々に来るプロの先輩方に気持ちよく練習に行って貰えるよう、細心の注意を払って気を使い行動しました。振り返ると私の競輪の原点は【新撰組】の下積みから構築していったのだと思います。

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