中野慎詞 選手 スポット・インタビュー
あとの2走を大事に

中野慎詞が見ているその先には…。確実にG1の2文字が、視界にとらえられているのだろう。
「ほかの選手が1年で走るくらいのレースを3年で走っている。僕自身は、まだ100走もしていな新人みたいな感じなんで」
22年のデビューから通算99走目だった川崎記念の3日目に、中野はこう振り返った。デビュー前からナショナルチームに所属して、昨年はパリ五輪にも出場した。それだけに競輪での出走機会が限られているのは、いまでも変わっていない。
「昨日(二次予選)はすごく悔しかった。でも、今日は気持ちを切り替えて内容を意識した。こういうことは競技でもある。2日目のああいう経験も上の世界で戦うにはあることだし、そういう風にならない組み立てが必要だった」
前日の二次予選では、赤板過ぎに神山拓弥との接触でまさかの車体故障による棄権。勝負に参加することなく敗退した。それでも心が折れることなく、3日目、最終日を圧巻の逃げ切りで連勝。自身のバリエーションを増やすべく、目的意識をもって内容、結果ともに追求して答えを出した。
「出走本数が少ないので、(3日目、最終日の)この2走を大事にしなきゃいけない。よりいろんな戦法をして、自分のモノにしていかないと。競輪での組み立てがちゃんとできていないし、冷静になれていないところもある。もっと磨いていかないとっていうのは、師匠(佐藤友和)からも言われています」
人気に応えた2勝はファンにとっても大きな重みがあるが、中野自身はそれ以上に意味をもつ2走だったに違いない。このあとは中5日で、日本選手権が待っている。
「大きい舞台に出て、もっと勉強して走らないと。ダービー(日本選手権)まではスパンが短いので、初日からいい感覚で走れると思います」
初めての日本選手権が、通算5回目のG1出場。まだまだ経験値が及ばないのは自身が誰よりわかっている。でも、それをすべて跳ねのけるだけの魅力と周りを惹き込む空気感が中野にはある。