師匠の分まで

　準決勝は二段駆けの中近勢を粉砕。会心のまくりで真っ先に決勝進出を決めた8和田だが、レース後の表情は冴えない。
　「最悪でしたね。ホームでいくチャンスはあったのに、相川（永伍）さんが浮いているのが怖くて仕掛けられなかった。結局、セオリーどおりの２コーナーまくり。師匠（渡邉秀明）を連れ込めなかったし、レースも見えてなかったですね」
　それでも上がりタイムは１１秒２。「疲れが残っているし、感じも良くない」という本人の言葉とは裏腹に、今シリーズの強さは際立っている。
　決勝戦は完全優勝に王手をかけた2平原に強力布陣を敷く中部トリオ、そして地元の1荒井と役者がそろった。厳しい戦いになるのは間違いないが、ナショナルチームで磨いたスピードを発揮できれば好勝負に持ち込める。
　「相手はみんな格上ですからね。6岡部さんに任せてもらったので、２人でゴール前争いできるように。師匠の分まで全力で頑張ります」
　３度目の記念ファイナル挑戦で頂点をつかみ取る。