脇本雄太が7人目のダービー完全V
「突き進むことを決めているんで、止まることはない」
20年、東京五輪でのメダル獲得という大きな目標がある。そこに向けナショナルチームでトレーニング漬けの日々。昨年はオールスターと寛仁親王牌の2冠をモノにした。競輪では敵なしの印象も、脇本雄太は妥協することなく自分自身と戦い続ける。
「清水(裕友)君を見たわけじゃなくて、自分のタイミングで仕掛けたところがたまたま、あのタイミングだった」
8番手で最終ホームを迎えようとしていた。33バンクの短走路が舞台だけに、並の選手なら万事休すの展開。だが、常識外れのパワーとスピードを有する脇本にとっては、自信が揺らぐことはなかった。
「外々を回っても、残り1周だったら踏み切れる自信があった。(最終)4コーナーを回って、自分のなかでちょっとヒヤッとしました。なんとか1着でゴールを駆け抜けて、本当に良かった」
中団からまくった清水も抜群のスピードで前団をのみ込んだが、それ上回るスピードで襲い掛かる。直線半ばでようやく清水に並んだ脇本がつけた着差は4分の3車身。完勝ながらも2車身以上の差をつけて無傷で勝ち上がってきた脇本にとっては、辛勝だったのかもしれない。
「去年(のダービー)も優勝したい気持ちで挑んで3着だったので、そのリベンジができて良かった。自分のなかでは練習の成果が、こうやって競輪の成績につながっていると思っている。まだまだ練習を上積みして、成績を良くしたい」
ナショナルチームでの活動で、今年の初場所となった3月のウィナーズカップは着の準パーフェクトの優勝。続く今シリーズの4連勝で脇本“一強時代”で令和初のG1を終えた。
「ここで満足するつもりはない。また進化を求めていきたい。あっ旋がある限り走りたいなと思っているんですけど。それがワールドカップだったり海外遠征とあたるんだったら控えようかなと。次は近畿地区のG1ですし、近畿のメンバーでより一層、頑張りたい」
今月末にロシアで行われる競技大会に出場予定の脇本の次の競輪は、6月13日からの高松宮記念杯。地元地区でのG1に気を引き締める脇本を止める術は、現状では見つからない。
逃げる渡邉雄太をまくり切った清水裕友だったが、最後は脇本のスピードに屈して2着。初のタイトル獲得へあと一歩及ばなかった。
「悔しいですね、夢を見ました。(道中で)深谷さんにすくわれたのは予想外。ひとりでラッキーでした。(深谷に)ラインができていたら、終わっていた。(仕掛けた時は)深谷さんの内か外で迷ったけど、外を回しました。展開が絶好すぎて、見過ぎてしまいまいした。(脇本と)ゴール前勝負ができているけど、力の違いを見せつけられました」
最終2角から空いたインコースを進出した菅田壱道が、3着に食い込んだ。
「全体は見えていました。自分がどこにいるか、誰が仕掛けているか見えていた。みんな外に意識がいっていると思ったので、内にいきました。田中(晴基)さんがけん制した時に突っ込んでいってチャンスがあると思ったけど、松浦(悠士)と絡んじゃいましたね」
単騎の深谷知広は、赤板の1センターで内を進出して絶好の3番手をキープ。脇本とのスピードバトルに持ち込むかに思われたが、、まくりを田中に止められた。
「単騎だったんで余計なことを考えてしまった。かぶりたくない気持ちがあって…。悔しい、力不足です」