• 四日市競輪場開設68周年記念泗水杯争奪戦11/7〜11/10

後記 GⅢ 四日市 11/07

10年ぶり、3度目のホーム記念制覇

柴崎淳

柴崎淳

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 大挙4車が勝ち上がった北日本勢は、先頭を務める嵯峨昇喜郎が赤板で飛び出す。しかしながら、合わせて動いた村上義弘が取ったのは分断策。嵯峨が主導権を握ると、番手の小松崎大地を村上が大きく外にもっていくが、小松崎もその位置は譲れない。競りの決着は簡単にはつかず、前団の隊列が凝縮されたまま打鐘を通過。柴崎淳(写真)がその時をじっと待った。
 「ジャン過ぎに(仕掛けるタイミングの)1回目が来たけど、僕の航続距離じゃなかった。(2回目のタイミングの最終)ホーム過ぎ、あそこで一気に行かないと(ラインの浅井康太と)2人で決まらないと思った」
 酸いも甘いもすべてが詰まったホームバンク。柴崎が仕掛けどころを逃すはずはなかった。初日、2日目に使ったフレームに戻した自転車も、柴崎の思いに応えてグングンと加速。最終バック手前で逃げる嵯峨をとらえて、浅井、単騎の諸橋愛が続く。勝負はこの3人に絞られた。
 「(シリーズの)4日間で脚的には(決勝が)一番良かった。(初日から調子が)徐々に上がっていく感じだった。踏み出しも良かった。あとは(優勝は浅井と)どっちかと思ったら諸橋さんが来てた」
 地元コンビの間を割って伸びる諸橋を半車輪しのいだところがゴール。四日市記念3度目のVは、気づけば08、09年に連覇した時から10年が経っていた。
 「10年ぶりくらいですかね。あの時と気持ちはまったく違う。(優勝を)狙っていかないと、勝たないとっていうのがあったし、中部地区を盛り立てていかないとっていうのもありました」
 その間に同門の浅井は3度のタイトルに、2度のグランプリを制覇。柴崎自身は昨年の競輪祭でようやく初のG1ファイナルの舞台に上がり、タイトルに手が届くところにもいる。
 「この自転車で競輪祭にいきたいと思っていた。だから、これで優勝できて、いい流れだと思う」
 フレームへの迷いもなくなり、今年最後のG1にこれ以上ない弾みをつけた柴崎にタイトル奪取の期待が膨らむ。

 「あの展開だったら村上さんは粘ると思った。それは想定内だったけど、差せないのは想定外」と、2着を悔やむのは諸橋愛。思惑通りの流れに地元コンビを追走して、一瞬の隙をついて浅井の内に入った。
 「(入っていくタイミングは)絶妙だった。あれで差せなかったのは俺の実力。ちょっと浅井の方を意識しすぎた感じもある。優勝して賞金を上積みして競輪祭にいきかったか」

 諸橋と絡んで3着の浅井康太は、柴崎の優勝をたたえる。
 「村上さんは先行っていうより、粘るんじゃないかと思っていた。あとはアッちゃん(柴崎)のタイミングでと。(後ろに)諸橋さんがいるのはわかっていたんで、どうやってしのごうかと。(柴崎と)お互いの持ち味は出せたと思うし、自分も(競輪祭に向けて)調子は上がっている」

 嵯峨後位を死守した小松崎大地は、柴崎のまくりには対処できず6着。しかしながら、村上に番手を明け渡すことなく今後につながる内容だった。
 「気持ち一本でした。でも、それ(番手を守り切って)で終わってるんで悔しい。(柴崎のまくりを)俺がなんとかしなきゃいけないのにいっぱいでした」

Race Playback

レース展開4
柴崎淳選手がまくりで逃げる嵯峨昇喜郎選手をとらえて地元V。単騎の諸橋愛選手が中を鋭く伸びて2着

レース経過

誘導員 : 萩原操

 号砲で出た浅井康太が前を取り、柴崎淳を迎え入れて地元コンビが前受け。3、4番手に村上義弘-岩津裕介が続き、単騎の諸橋愛が5番手、嵯峨昇喜郎-小松崎大地-佐藤慎太郎-大森慶一の北日本勢が後ろ攻めで周回を重ねる。 赤板手前から一気に踏み込んだ嵯峨が、1コーナーで先頭に立つも、合わせて踏んだ村上が番手に飛び付いて、イン粘りの作戦に出る。3番手でも岩津と佐藤が激しくやり合ったまま最終回へ入るが、徐々に村上が遅れてしまい、小松崎が番手を死守。一方で、後方に下げてタイミングを計った柴崎は、1コーナーからスパート。バックで嵯峨を豪快にまくり切ると、4コーナーで柴崎と浅井の間を割ってきた諸橋を振り切って、09年以来、10年ぶりの地元記念制覇を達成した。村上ラインには続かず地元コンビの仕掛けに乗った諸橋は、最終2センターで浅井の内に進路を取って2着。柴崎マークの浅井は伸びを欠いて3着でゴールした。

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