同郷・同期の絆で稲垣裕之がV
同郷同期の固い絆で稲垣裕之が久しぶりの栄冠をつかんだ。前回りを志願した村上博幸が奇襲のカマシ先行。その気持ちに応えるべく、別線の反撃に合わせて全力でペダルを踏み込んだ。
「(村上の)気持ちがうれしかったです。(番手から)出て行くかどうかの判断は難しかったですね。やっぱりこれまで(村上は)僕の後ろで我慢させることが多かったし、なかなか思うように走れなかったこともあると思います。こうやってどんな並びでもしっかり走ってくれる。これが近畿の層の厚さですね」
決勝には近畿勢が6人進出。7車立てで別線勝負になるのは仕方ないが、地区全体の総合力が上がっているのを感じている。
「6人決勝に上がれるのがいまの近畿の力ですね。同地区で別線勝負はやりづらいですけど、そこは割り切って力勝負をして。みんなで切磋琢磨して、さらにレベルアップしていきたいですね」
この優勝で次走の名古屋オールスター、来月の向日町記念に向けて弾みがついた。
「近畿には脇本(雄太)というすごい選手がいるし、自分ももっと頑張らないといけないないと思います。もっと力をつけて、近畿勢を盛り上げていけるように」
この開催の直前に43歳を迎えたが、闘志はまだまだ健在。2度目のG1制覇を目指して進化を続ける。
目標の元砂が厳しいと見るや自ら外を踏み上げた椎木尾拓哉が2着に。
「(村上の)カマシがちょっと予想外でしたね。あれで(元砂は)慌ててしまったところもあると思います。ちょっと厳しいと思って、外を踏ませてもらいました。伸びは良かったし、今回は尻上がりに感じが良くなりました」
後方6番手に置かれた松岡健介は3着に入るのが精いっぱいだった。
「僕はまずは元砂と勝負、そのあと村上や吉田と考えていたので、思っていたのと違いました。色んなレースを想定したけど、判断ミスというか、まさかの展開でちょっと見てしまった。吉田も仕掛けて前が併走になっていて、踏むところがなかったです」
村上博幸は盟友の前で驚きの先行策に打って出た。
「3番手に入って、あれで誰か後ろからカマして来て、それにスイッチするのが好きなんですけどね。かぶってしまうと思ったので、行きました。ペースに入れて残るようには駆けているけど、先行選手じゃないですからね。あとは稲垣さんの判断に任せて。稲垣さんは苦しい時期もあって、一生懸命やっているのでずっと見てきたので」
元砂勇雪は初の記念決勝で持ち味を出し切れなかった。
「松岡さんを意識していて、(村上)博幸さんは3番手でまだ来ないかなって思ってました。先行したかったんですけど、難しいですね。3番手に入ってすかさず仕掛けたんですが、(稲垣に)出られて厳しかったです」