阿部将が初物尽くしの快挙を達成
S級の初決勝で初優勝。阿部将大はG3にも初参加だったが、目の前にあるチャンスをつかみ取った。
「今開催はデキすぎですね。(優勝は)ビックリしています」が素直な感想だった。
勝因のひとつに、今シリーズに向けて万全の状態で臨めたことを明かす。「普段のF1戦は負荷を与えてのレースだったけど、今回は調整ができた。(全日本選抜競輪出場組が不在で)裏開催だけど、しっかりと優勝を獲れたことは自分の中では大きい。(期待される立場になるが)そこは期待してもらえたら応えられるように頑張りたい。そこで厳しくて勝てなくなっても、その壁を乗り越えることができれば次のステップにつながる」
決勝戦の前には悩み抜いた末に、岩谷拓磨の番手を回った決断があった。「決勝でハコを回れると思っていなかったけど、岩谷君の調子が良いということだったからお願いしますって感じでした」。
「岩谷君が一生懸命に走ってくれた。最終バックで中西さんの後ろに岩谷君がハマった所で(優勝を)獲れると思ったし、その感触があった。落ち着いていましたね。レース前は緊張していたが、走ってしまってハイペースになってからそんなことはなかった」と決勝の舞台にも物怖じしない強心臓と冷静さを備えていた。
今後はさらなる期待が集まるが、掲げる目標は最高峰のレースに出場すること。「ヤンググランプリは出られたらいいなぐらいで、(選手として)最終目標はグランプリ。今は力をつけるときだし、中間目標でヤンググランプリに出られたらって感じです。ただ(今回の優勝で)可能性が高まったから逃がさずにいきたい。僕よりも強い同期はたくさんいるし、今回は人の後ろだから獲れた。これからも(同期たちに)負けないように頑張りたい。理想の選手は松浦(悠士)さんですね。強い選手っていうよりも、うまい選手を目指したい。次は大垣記念。調整して決勝に乗れるように頑張りたい」
宗崎世連はラインの力に助けられながら決勝に進出。決勝でも四国4車の番手回りと千載一遇のチャンスではあったが、力の差を痛感した。
「悔しい、というより申し訳ない。島川が行ってくれて、いいタイミングがいくつかあったんですけど、行くだけ行かせて僕だけ拾ったレース。コースが空いて、最後に踏んだだけでした。強い島川に、点数を上げてきた田尾、地元を背負ってきたノリさんに申し訳なかった。競輪選手としての力量のなさを感じましたし、僕にはまだ早すぎるステージだった。殻を破る力はなかったです。ただ、競輪祭の権利は取れた。それは、ひとりで取れたものではないので責任がある。これからそれに見合う選手になるために努力をしないと。認めてもらえるようにやっていくことが与えられた使命だと思っています」
仕上がりの良さを実感していた岩谷拓磨。最終バックから4コーナーまで中西、島川と壮絶な踏み合いになったが、最後は気迫で先頭に立ち、阿部の優勝をチャンスメイクした。
「(中西)大さんが、行くか、行かないかっていうところでしたけど、行かなくても、俺が行くところでした。今回は仕上がりが良かったし、自信もあったので。優勝したかったが、番手が勝ってくれて、3着で、競輪祭が決まって、良かった。まだF1でも優勝がないので、まずはそこを目指します」