V獲りで隙なく上位独占
吉田拓矢
昨年5月に引退した平原康多のタイトルがついた初めての西武園記念。平原の現役ラスト場所になった昨年の日本選手権4日目のゴールデンレーサー賞で3番手を固めた平原の前にいた2人が、責務を果たすワンツー決着で関東勢の牙城を守った。
「連戦で疲れはあったけど、ここだけは勝ちたいと思って臨んできた。だから(優勝できて)うれしいですね」
ファンを前にしてのインタビューでこう振り返った吉田拓矢は、前回の伊東記念から中2日の強行ローテーション。それでもここにかける思いは人一倍だった。
大挙5人が決勝に進んだ関東勢は、地元の埼玉コンビとは納得の別線勝負。できあがった栃茨3車のラインは、吉田が栃木勢の間に入る布陣になった。
「本来なら(栃木同士で)金子(幸央)さんが番手なんですけど。3番手でいいから、番手回ってくれって。そのおかげですし、眞杉(匠)君がああやって仕掛けてくれたおかげで勝つことができました」
ラインの前後に感謝を忘れることなくこう言った吉田にとっては、3人での上位独占もまた自身に課した使命でもあったのだろう。
レースは、赤板2コーナーで先頭に立った黒沢征治が先行態勢。後方でタイミングを取った眞杉は、打鐘3コーナー過ぎからスパート。ほぼ同時に黒沢も踏み上げたが、スピードの違いは明らか。最終ホーム過ぎに眞杉が主導権を奪って、吉田、さらに3番手の金子まで出切った。
「(眞杉が)本当に強くて離れかけたけど、なんとか付けたので良かった。眞杉が掛かっていたので(別線は)誰も来ないだろうと思って、あとはラインで決まるようにと。眞杉が2着に残ってくれて良かったです」
単騎で4番手に飛び付いた佐々木豪は、態勢を立て直すのに精いっぱい。5番手の黒沢のまくり、その後ろにいたもう1人の単騎、古性優作も栃茨勢を脅かすことはなかった。番手で車間を空けた吉田が、盤石の追い込みで勝ち切った。
「平原さんが大事にしてきたラインの力を見せられたかなと。平原さんと武田(豊樹)さんは、デビューしてから競輪を教えてもらった師匠のような存在です。(次回の日本選手権までは)間隔が空くので、眞杉たちと一緒に合宿をする予定なので仕上げていきたい。いつでも(眞杉の前を回る)準備はしています」
眞杉のまくりを交わしてダービー王になってからもう一年。眞杉とのワンツーは、連覇のかかる日本選手権が、平原不在でも関東勢安泰を印象づけるには打ってつけだっただろう。
カマシ一撃で別線を仕留めた眞杉匠が2着。まずまずの手ごたえで次回につなげた。
「あそこから仕掛けて、後ろが吉田さんで押し切れるのは難しいかなと。いいところから行けたので良かった。ちょっと重かったですね。でも、前回よりはいいかなって思いました」
佐々木に飛び付かれる隙を与えることなく、金子幸央はSS2人を追走。最後まで内を締めて、直線は外を踏んだ。
「前2人が強いので、2人に離れないようにと思っていた。最後に眞杉君を抜けば2着でしたね。連日、前の選手たちのおかげです」