偉大な同県の先輩たちを追いかける

　静岡競輪場で開催された日本競輪選手養成所の第127回生（男子69人）、第128回生（女子20人）の「卒業記念レース」は、3月5日に2日目が行われた。127回生の決勝では、三神遼矢（福島）が追い込んで優勝。福島県からは103回生の小酒大勇（現、宮崎）以来、卒業記念チャンピオンの座に就いた。また、128回生の決勝では、岩元杏奈（宮崎）が、酒井亜樹を微差、退けて優勝。3月7日に卒業式を控えている127、128回生は、養成所を巣立ち、5月熊本を皮切りにルーキーシリーズで、いよいよプロとしての第一歩を踏み出す。

　記録会では、2度のゴールデンキャップを獲得した。競走訓練での先行、まくりでの勝ち星は、127回生トップ。すでにナショナルチームにも所属している三神遼矢が、エリート街道を順調に滑り出した。
　「（卒業記念優勝は）素直にうれしいです。前の方を取って、誰か切りに来たら、すっと下げてカマシ先行を狙っていた。でも、今日みたいに切りに来る選手がいない展開だと、早めに主導権と思っていた。（杉浦颯太が）見えて踏んだ。でも、その前に自分がペースを落としすぎていて、（最終）ホームで出られてしまった」
　最終ホームで杉浦に叩かれた三神だったが番手を確保。2コーナーからまくった尾野翔一の気配を察知して、自らも3コーナーから踏み込んだ。在所ナンバーワンの尾野が伸びを欠き苦しむなかで、三神はスムーズな加速で抜け出してV奪取した。
　「先行争いで負けてしまった。けど、杉浦君が1車だったんで切り替えて、自分の行けるところからと。（尾野が）後ろから来る感じがあったので、しっかりとまくって行こうと思っていた」
　ツールドフランスに心を打たれ、高校では自転車競技部に入部。本格的に自転車競技を始めたが、大学2年生の時にロード練習で落車に見舞われた。それまではトラックの中距離種目が中心だった三神が、怪我を契機に短距離種目に転向。そして眠れる素質が開花した。
　「自分はダッシュも持久力もそんなに強いと思っていない。（そういう）武器がなくても、地道に向上心をもって練習ができるところが武器だと思っています」
　ナショナルチームにも見出され、高いポテンシャルを有しながらも、あくまで謙虚。それだけに周囲は、三神に大きな希望を抱きたくなる。
　「競技と競輪の両立をしていきたい。大きな目標は、競技では世界選手権での優勝とオリンピックでのメダル獲得。競輪の方では、グランドスラムを達成したい。ただ、今日のレースでも課題は何個もあるし、しっかりと修正していきたい」