-
新たに開くドアその先の道へ
「父(龍也・引退)の姿を見ていたし、(S級は)憧れの夢舞台だった」。
今期から念願のS級レーサーとなった佐々木。しかし、すぐさま現実を突きつけられた。「1場所目(7月小倉)は、A級と同じく出たとこ勝負で行ってしまって。通用しないことがわかりました」。そこから反省と修正を繰り返し、8月川崎G3では決勝へ進出。初のG戦で結果を残した。「川崎は良いレースができなかったけど、勝ち進めたのは少し自信になりました。今は毎場所でどうしたらいいかを決めながらやってます。レースでも常にどうなりたいかを考えて」。5月全プロでは2年連続となるチームパーシュートをV。親王牌行きのチケットをつかみ取った。そして、いよいよ輪界トップが集うステージに足を踏み入れる。「G1は特別な思いがある。出るからには特別なことができるように」。大舞台でも怯むことはない。持てる力を発揮して強豪に挑む。
-
第27回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント10/5〜10/8
寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント
舞台は短走路
-
前橋競輪場を舞台に「第27回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(G1)」が、10月5日~8日の日程で開催される。2018年のG1シリーズも4つを消化し、残すはあと2つ。タイトル争い、そして、グランプリ出場をかけた熱き戦いが短走路のドームバンクで繰り広げられる。輪界の頂上決戦から目が離せない。
- レース展望を読む
インタビュー
-
ケガを乗り越えて復帰戦で底力を発揮
8月の平オールスターは準決勝で落車負傷。続く9月の川崎、高知の共同通信社杯は欠場を余儀なくされた。
「ケガは足首の靱帯損傷です。少し前から練習を始めて、高知はちょっと厳しかったので欠場しました。もう痛みとかは大丈夫です。まだもがいたりはしてないんですが、ここを目標にして、これから本格的な練習をしていきます」
ここ数年はよくなっては落車の繰り返しだが、「そういう競技なんで、仕方ないと思ってる」と気持ちを切らさず、復帰に向けて計画的にトレーニングを積んでいる。
前橋は07年の寛仁親王牌でG1初優出を果たした思い出のバンク。「そうでしたね。確かに前橋のイメージはいいし、走りやすいです」。昨年の当大会は決勝3着で表彰台に上がるなど、抜群の相性を誇っている。
5月青森全プロのケイリンで優勝。今年は初日理事長杯からスタートできる。
「上のレースから走れるし、普段どおり一戦一戦、しっかり戦うだけです。出場するからにはしっかり結果を残せるように頑張りたいと思います」
ぶっつけ本番でも経験豊富な成田なら心配ない。完全復活の狼煙を上げる。
-
不屈の闘志でいざ大舞台へ
デビューから5年。徐々にステージを上げてきた谷口にとって、ビッグの出場は目標の一つでもあった。「G1に出てみたい気持ちも強かったし、(師匠の萩原)操さんにも特別競輪に出る選手になれと言われていました」。全プロのチームパーシュートで表彰台にあがり、親王牌への出場が決定。しかし、約2カ月ぶりに復帰した7月大垣では優出を果たすも、決勝で落車して鎖骨を骨折。再び長欠を余儀なくされた。それでも懸命にリハビリを続け、何とか出場にこぎつけた。「慌てず復帰までの時間を取って。間に合って良かったです。練習もしたし、あとは実戦を走りたいので(直前の9月)豊橋を走ります」。周囲からの応援が、折れそうな心を支えてくれた。恩返しは、晴れの舞台での走り。全力で大舞台に挑む。「応援してくれる人にも頑張っていたねと言ってもらえるように。小さくなるんじゃなくて、思い切り走りたい」
-
勝負の終盤戦に突入今度こそG1で存在感を
6月宇都宮、8月松戸と記念を立て続けに優勝。しかも宇都宮では初日にバンクレコードを更新する圧巻の走りだった。しかし、舞台をG1に移すと、成績は一変。準決勝に勝ち上がったのはダービーだけで、オールスターは2走して途中欠場してしまった。
「今まではG1のほうが良かったのに今年はボロボロ。G1が良くないですね。せっかく理事長杯からなんで、今回は頑張りたい」
バンク的にも脚質に合うと自らも期待していたオールスターでの敗戦後は、一度気持ちをリセットした。「リフレッシュしてから。気持ちを入れ直して練習した」。直前の共同通信社杯は一次予選で敗れたが、「いい刺激は入ってる」の言葉どおり、2日目以降を3連勝で締めくくってみせた。
「今まで理事長杯は何回乗ったかわからないけど、1回しか生かしてないんですよ(苦笑)。かなり有利だと思うので、今回は生かしたい。共同が終わってから2週間ぐらい空くし、10月以降に向けて。ここと地元記念、競輪祭と終盤の大事な大会を頑張りたい」
調子は問題ない。前橋も「走りやすい」なら今度こそビッグで存在感を発揮する。
-
迷わず攻める初出場で存在アピール
5月青森全プロの4㎞チームパーシュ
ートは谷口明正、神田龍、皿屋豊と組ん
で2位に入り、G1初出場の権利を手に
入れた。
「みんなでそこを目標にしていたので、よかったです。G1初出場が決まって不安な気持ちもあるんですけど、なんとか頑張りたいなって思ってます」
S級に返り咲いた今期は8月防府でS級初優勝を飾った。「力で勝ったわけじゃない。タマタマです」と謙遜するが、パワーアップしているのは間違いない。前橋も初参戦で初物尽くしの大会になるが、恐れることは何もない。
「レースが始まるのが普段のF1に比べてかなり早くなると思うけど、それに対応できるように、最近は長い距離を踏むようにしている。前橋は初めてだけどカントをうまく利用して走りたいですね。存在感をアピールできるように頑張ります」
-
不本意なオールスター2度目のG1は違う
期待されたG1デビュー、8月のオールスターでは着。すべて最終バックは取ったものの、なにかが違った。
「オールスターは怪我の影響なのか、良くなかったですね。ただ、そのあとの久留米の最終日にセッティングをいじったら、まだマシになった」
オールスター前の新人訓練で、落車のアクシデント。歯車が狂ったが、それでもケレン味を利かせた走りにブレることなく、積極性を貫いた。
「長い距離を行くだけなら、誰でもできる。それががわかっていれば、(別線も)やりやすい。村上(義弘)さん、古性(優作)さん、(村上)博幸さんにいろいろアドバイスをもらいました。(脇本雄太のような走りを目指すのを)完全にやめたわけじゃないけど、使い分けていかないと。今度は理事長杯からなんで、イケるところまでいきたい」
共同通信社杯の最終日は澤田義和が連結を外して、原田研太朗に番手にはまられる最悪の展開。それを力だけでなく、後続を酔わせるテクニックを駆使して逃げ切った。近畿の先駆者たちの言葉で、南に光が差した。全プロ競技大会1キロTTで勝ち取った理事長杯スタート。今度の寬仁親王牌は違う。
-
3度目の正直で初出場経験を今後に生かす
過去に2度、出場のチャンスはあったが、いずれも開催時がA級だったために出場はならず。「3度目の正直で」今回が初のG1出場だ。
「初めてのG1を前にちょっと上ずってますね。なんだかソワソワしてる。練習はいつもどおりだけど、A級の頃よりはしてます。S級でのあまりの不甲斐なさに、師匠(安東宏高)に誘われて乗り込みもはじめました」
初めて味わう雰囲気に対戦したことのないような好メンバー。「初日は飲まれると思う」。当たり前だが、苦戦は覚悟のうえだ。それでも「3日目、4日目に自分のレースができれば。オール9着だけはしないように、1回ぐらい確定板に入りたいですね。とにかく、いい経験にしたいと思います」。初めて経験する大舞台がS級で苦戦を続ける利根のカンフル剤になることを信じたい。
推奨選手
Pick Up 1
8月小田原で記念を初優出。続く共同通信社杯は強豪を相手に着のオール連対とG戦線で力強い走りを見せている。今度はG1のファイナリストに名を連ねるか。
Pick Up 2
オールスターはG1初出場で、いきなり決勝に進出。さらに、共同通信社杯は3連勝で優出と注目を一身に集めている。新人離れしたパワー、スピードで短走路も攻略しよう。
Pick Up 3
「脚が上がっている分、失敗がなくなった」と成績が安定。9月岐阜記念でも危なげなく勝ち上がって着。タテヨコ俊敏に立ち回った。今ならG1初優出も狙える。