田中晴が激戦を制す

田中晴基
前を行く竹内を3コーナーでとらえたが、その外を岩津が迫ってくる。「持って行ったらガシャンって。ヤバいなと思った」。あおりで岩津マークの橋本が落車し、田中は審議対象に。笑顔で出迎える同県の仲間にも「失格かもしれません」と話していたが、セーフのアナウンスにホッと胸をなでおろす。
勝機を呼び込んだのは青板周回での判断だった。
「竹内の先行だろうから、その後ろをみんな取りたがるだろうな。誘導を残して引きたくないと思ってたら、古性は切らずに、(竹内)雄作が2車で来たんで、いいの?と思った。今開催はラッキーです」
最終日失格に終わった10月千葉記念。次の場所からは8年前に使っていたフレームを引っ張り出して戦っていた。「今年は自転車も試行錯誤したし、来年中に記念を獲りたいと思ったら」。思わぬ早さで目標を達成し、これで今期の1班キープも見えてきた。2月のG3優勝では叶わなかった競輪祭出場も決めた田中がここから一気に攻勢に転じる。
ホームで田中の後ろに入った大塚が流れ込んで2着。地元記念初優勝を逃した悔しさよりも、古性に離れたことにレース後は苦笑いしきり。
「ぶっ千切れた。ボロが出ましたね。最悪。(競輪祭の落車で痛めた肋骨を押さえながら)引いてドンは一番ダメ。たとえ繰り上がってたとしても喜べないでしょう。千切れた時点で終了。お恥ずかしい」
大塚に割り込まれた中村はその後ろから再度ドッキングを狙ったが叶わず。2センターの落車を避け、3着に入るのが精いっぱいだった。
「(大塚に割り込まれて)自分はあれを行っちゃうと失格なんで、どこかチャンスがあるところでもう1回と思っていた。そしたら晴基が行っちゃって、岩津も来ちゃった。かろうじて3着ですね」
最終ホームで古性の番手にはまった竹内にとっては記念初優勝へ絶好のチャンスだった。
「踏み上げようと思った時に、もう(古性が)来ていた。もっと落ち着いてレースを運んでいれば、展開も変わったかなと思います」
1コーナー過ぎからまくった岩津だったが田中の外を乗り越えられず。
「強がコケたの…、そこだけですね。僕のスピードがもうちょっとよかったら、でも現状ですね。田中が強かったです」