浅井康太が会心の記念V
二次予選で節目の400勝を達成すると、そこからは無傷の3連勝だ。別府では昨年2月全日本選抜で落車、失格し、12月の記念決勝では鎖骨骨折の大怪我を負うなどアクシデントが続いていたが、その悪い流れを浅井康太は自らの脚で断ち切ってみせた。
「400勝できた土地で優勝できた。全日本選抜の失格に去年の決勝は落車で初の鎖骨を骨折した。恵まれないレースや迷惑をかけたレースが続いてたので、そういう土地で記録と結果が出たのは本当にうれしく思う。声援がすごくあって気持ち良く走れたし、『G1のことは気にするな』という声も聞こえて思い切ったレースができました」
単騎だったレースは岩本俊介ラインの後ろに位置取った。北津留翼の逃げを打鐘過ぎ2センターから巻き返した岩本が2コーナーで出切ると、浅井はすかさずバックからまくって出た。
「タイミング的にはもうワンテンポ早く行ったほうが楽だったと思う。バックが向かい風だったのでけっこう重くて、ゴールまで必死に走りました。松浦君はどこからでも飛んでくると思ってたし、見えてないけど音がどんどん大きくなっていくからヤバいなと思った。どうかな? ヤバいかな?と思ったけど、ビジョンを見たら残ってたので。しっかり最後まで踏み切れたと思う」
競輪祭の準決勝で落車し、出場も危ぶまれた今大会。「悪いなかでも結果を出すのが一流の証」。出場するからには結果を出すという強い気持ちでシリーズに臨んでいた。2年連続でグランプリ出場を逃してしまったが、「来年もグランプリというより、人間としてもっと成長できればと思ってる。自分を信じてひとつずつこなしていけば。自分を信じて、自分が満足いくレースをすれば結果は出ると思う」と考え方、スタイルにブレはない。鬼門を突破した浅井がここから一気に攻勢をかける。
惜しくも優勝を逃した松浦悠士だが、しっかりとテーマを持ってシリーズを戦い抜いた。
「ホームで行けば良かったですね。北津留さんがペースで駆けるとは思わなかったので、それが誤算。どうしようかってところで岩本さんが来たので。悔しいですね。届くと思ったけど、届かなかった。でもシリーズを通して自力で動けたし、決勝も狙いにいく自力って感じで動けたので」
浅井後位に切り替えて中割りを狙った園田匠だったが3着まで。節目の300勝を記念優勝で飾ることはできなかった。
「ちょっとヨダレがたれた。4コーナーでニュートラルに入って、吸い込まれる感じだったからヨッシャと思ったら。松浦がうまかったですね。僕の脇が開く癖を見抜かれてた。スイッチしたからには優勝したかったですね」
北津留マークの中川誠一郎は岩本の早い巻き返しに対応できず。
「毎日、岩本がホームで来るんでトラウマになりそう。(諸橋の口が)空くのがわかってたら反応もできたけど、翼が内に残ってたので差し込めなかった」
岩本の仕掛けでチャンスが来たかに見えた諸橋愛は真後ろから浅井にまくられてしまった。
「力の限界です。余裕があれば仕事できるけど、本調子じゃないので余裕がない。残念です」