ピックアップ GⅢ 富山 08/29
前回のオールスター決勝では、北日本結束の4車ラインから先行策に出た新山響平を窓場千加頼とのタッグで粉砕。古性優作が、今年初のG1制覇を遂げた。今シリーズの決勝は抜群のスタートダッシュで前を取ると、託された石塚輪太郎は4車ラインの新山を突っ張り壮絶な叩き合い。石塚の頑張りがあったからこそは言うまでもないが、新山、菅田壱道、自力に転じた守澤太志までをも阻んだ古性がV奪取。G1に続く連続優勝で波に乗ってきそうで、近畿勢の勢いが加速するのは間違いないだろう。
単騎の初日特選からシリーズを❹着の山口拳矢。近況の動き自体は悪くないように映ったが、成績を見てもわかるうようにパンチ不足は否めない。足りないのは、前回のオールスターで兆しが見えた仕掛ける勇気なのかもしれない。
「(初日が単騎。2日目以降はすべて番手回りで、シリーズを通してラインの先頭で戦わなかった)こんな経験は初めてですね。それなのに(中部勢は)誰も決勝に乗れていない。後ろに付く人の判断というか、自分だけでも勝ち上がらないとっていうのもあったと思うんですけど。それも経験がないことだった。追走技術とかは問題ないんですけど、練習と実戦との違いというか。簡単にタテへ踏めばいいわけでもないですし、でも飛んでいてしまってもダメ。前の選手の気持ちもくんで走らないと。(今シリーズを通しての状態面は)ずっと番手だったのでわからない部分もあるんですけど、踏んだ感じは悪くなかったです。あとは気持ちですね。最終日で言ったら(最終)2コーナーでしっかりダメでも踏まないと。そうすればいつかいい方向に行くと思う」
今期初めてS級にステージを上げた五十嵐綾は、シリーズ2勝でアピール。その2勝はともに町田太我の逃げをまくってのものだけに、周囲の評価は高い。最終日も4着に終わったが、展開に応じた俊敏な動きで縦横無尽に立ち回った。が、自身は冷静に振り返る。
「(3日目は)自分に展開が向いたというか、警戒されてなかったんでああなったんだと思います。町田君がめちゃくちゃ強かった。金ヶ江(勇気)さんが突っ張られて降りてきたんで、そこにこだわるよりはって体が反応した。(青井賢治をさばいて)早めに決着がついて良かった。あれしかできないっていうのがありますね。(町田を相手に)突っ張り先行だったり、カマシ先行っていうのができればいいんですけど。さばいて、まくっていう競走しか勝ててない。ただ、(今シリーズ)2勝できたのは大きいですね。先行、さばき、まくり、なんでもできるようになりたい。(同県の)新田(祐大)さん、佐藤(慎太郎)さんを付けてとかって考えると、このままじゃいけない。タテ脚をもっとつけていかないと」
安倍大成は今期が初S級も、ピスト6を4場所走っていることもあり今シリーズがS級3場所目。初の記念で9車立てを経験して、単騎の3日目は混戦をまくってS級初勝利を挙げた。
「(3日目は)単騎だったのでピスト6のイメージでいけました。全選手が格上で、勝機はかなり薄かったんですけど。(嵯峨昇喜郎のまくりの)あの上を行けたので、かなり自信にはなります。連日、行けるタイミングで行こうと思っても行けなくて、初日、2日目もチャンスはあったと思うんですけど自信もなかった。レースを見返してみると、こうしたら良かったなっていうのは思うんですけど。レース中に余裕がない。でも、だんだんレースにも慣れてきて仕掛けどころを逃さないように行けたと思います」
今年S級にカムバックした福田滉は、ようやく軌道に乗ってきたかに思われた矢先に5月の玉野で落車。その後は6月の弥彦、小田原で連続落車に見舞われて、小田原では両鎖骨骨折の大怪我を負った。復帰2場所の今シリーズは最終日を1着で締めて、4月以来の勝ち星で胸をなでおろした。
「(最終日は目標の鈴木陸来が先行して)久々に1着と取らせてもらいました。昨日(3日目)も(中嶋)宣成さんのダッシュに離れて、陸来さんもダッシュがいいんでそこを意識した。セッティングをいじって、(体の方も)日に日に良くなった。短い期間に落車が続いて、鎖骨も2本折った。それでも復帰戦の川崎でも中を割ったりもしたし、怖いとかはなかった。毎開催良くなってきている感じがあるし、あとは脚を戻せればと思います。この1着で気持ちの面でもいいと思います」