• 前橋競輪場 第34回寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント10/23〜10/26

インサイドレポート・シリーズ総評

ピックアップ GⅠ 前橋 10/23

 3車のラインながらも、勝負のポイントだった打鐘で仕掛けを逸した犬伏湧也と、単騎ながらも踏み出すべきところから敢然とまくって出た嘉永泰斗の明暗が分かれて、嘉永が初戴冠。合わされて不発…、後ろに差されてしまうかもしれないと言った弱気を振り切り、前に踏み出すことの大切さをあらためて知った決勝だった。

 初日の理事長杯を上がり8秒9の圧巻まくりで制した脇本雄太は、3日目の準決前のウォーミングアップ中に負傷。左ヒジの関節脱きゅう骨折で、当日欠場を余儀なくされた。初日のデキなら全日本選抜、高松宮記念杯に次いで、今年3冠目の奪取も視界良好だっただけに、発表された診断日数40日の怪我の影響が気になるところ。年末にはグランプリを控えているが、今年のラストG1、競輪祭にはなんとか間に合わせてほしいというのがファンの願いだろう。

恩田淳平

恩田淳平

 地元の大舞台で初めてのG1ファイナル進出を遂げた恩田淳平は、「ここの(昨年2月の)F1で平原(康多)さんを交わした時に、ここ(前橋)なら勝負できると思うからしっかり勝負しろって言われていたのが自信になっています」と、準決で振り返った。決勝ではタッグを組んだ吉田拓矢が先行策。嘉永のまくりには屈したものの、嘉永を追った同期の古性優作と壮絶なつばぜり合い。そのままゴールになだれ込んで、地元の意地を見せた。日本選手権準Vの父、康司(40期、引退)には及ばずも存在感を見せた。

 「(決勝は)夢をみました。車間は空けていました。ただ、前橋は2コーナーの入り口で追い込みは登らされるんです。あそこで嘉永に踏み負けた。トルク負け、力負けです。古性には自分が当たっていっただけです。親父のすごさ、こういう舞台で走れるありがたみを感じていました。自分が(嘉永を)止められないと。そこの技術を磨かないと。関東が盛り上がる一角になれるように、自分が後ろに付いていれば仕事をしてくれるって思ってもらえるような追い込み選手になっていきたい」

菊池岳仁

菊池岳仁

 初日特選では同期で同じ早期卒業を果たした寺崎浩平をゴール寸前でとらえるまくりで勝ち星を挙げた菊池岳仁が、2日目はローズカップに進出。最終日は新山響平の先行をまくりで仕留めて、以前の淡泊なイメージを払しょくしつつある。

 「(8月の)富山記念から自転車を換えて、それがかみ合っています。古性(優作)さんのフレームです。古性さんと話していて、たまたま自分に合った寸法のモノをもらいました。もともと似たようなフレームを使っていたこともあって、(古性との)戦法の違いとかは関係なく、自分に合っています。フレーム自体はいいモノですし、誰のフレームだとかは関係なく、自分のモノにしないといけない。そこは脚力をつけないとだし、セッティングもまだ上積みは見込める。でも、セッティングとかよりも、自分の実力が大事だと思う。このフレームを自分のモノにできるように。今回は2勝できたけど、まだまだ足りないところだらけ。競輪祭は出られないので、また来年のG1で活躍できるようにしたい」

眞杉匠

眞杉匠

 シリーズ2勝をマークした眞杉匠だったが、初日理事長杯と準決では大敗。それだけに次の四日市記念、さらにラストのG1、競輪祭を見据えては変わり身が必要だろう。

 「(最終日は1着でも)体と自転車がマッチしていなくて、出切ってからタレていく一方だった。良かった時の感じを思い出してセッティングをいじっていたけど、急には良くならなかったですね。(今シリーズは)体の感じも悪いので、行くべきところで行けてなかった。(仕掛けどころで)見ちゃっているし、そこに関してはセッティングじゃなくて体と気持ちの問題。体が良くなれば、気持ちもともなって行くべきタイミングを逃さないと思う。次は中3日で四日市ですし、競輪祭に向けてちょっとずつ良くなっていると思うけど、もうちょっと欲しい。というか、もっとですね」

佐々木豪

佐々木豪

 犬伏湧也、松本貴治ともに初タイトルはお預けになったが、四国勢は小倉竜二と3人が優出。それだけに同地区の佐々木豪も、思うところがあったようだ。久田裕也の番手を回った最終日を除いて、ラインの先頭で戦った3走はすべて積極策。短走路の前橋ということもあっただろうが、先を見据えてこう振り返った。

 「(最終日は)久田君が強い気持ちで走ってくれた。(福永大智は)スピード差がありあすぎて、僕の技量では止められなかった。そのあとは落ち着いて走れました。福永君のすんなりのカマシをスイッチしてまくれたんで悪くないと思います。最近は後ろになることも増えて、前の子が頑張ってくれるし、自分が自力の時はいろいろ考えていいレースができればって思っている。それを後輩も見てくれれば。(今シリーズは)2日目から感触が良くなってきたんで、初日がもったいなかった。調整の仕方ですね。(前回から)3週間くらい空いていたんで、初日にうまく合わせることができなかった。(自分が決勝に乗れなくて)そのことがずっと頭から離れない。自分は最終日に選抜を走っていて、いろいろ考えるところがあります」

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