戦力充実の北日本勢
各地区にエース級の選手がいるハイレベルなシリーズだが、北日本勢が圧倒的な戦力で強豪を迎え撃つ。その中心は新田祐大だ。今年前半はナショナルチームの活動もあり、4場所しか走っていないが2月全日本選抜では決勝3着と機動力は健在。その後に参加したW杯で落車したが、今は万全の状態に戻っている。ダービーで露呈したレース勘の不安も今シリーズには修正可能だろう。新山響平はデビュー最速で4日制記念を制覇したのが昨年大会だった。11月には競輪祭でG1初優出するなど、その後も順調にステップアップ。3月ウィナーズカップこそまさかの結果に終わったが、その後はダービーを含む13走でバック12本と原点回帰の走りを見せている。新田、新山と機動型がそろえば地元の菊地圭尚に期待しないわけにはいかない。今年は年頭からF1戦を連覇するなど好スタートを切った。昨年後半のスランプは脱し、今年こそは地元で悲願の記念初優勝を狙う。守澤太志はダービーで待望のG1初優出。北勢が大挙して勝ちあがっても、ライン固めでは終わらない鋭いタテの脚は魅力だ。
S級S班の浅井康太に金子貴志、吉田敏洋と中部勢にも役者はそろっている。浅井は現時点で、今年はまだ優勝していない。それでも多彩な戦法で戦歴は安定しているし、4月高知記念でも自力と番手を使い分けシリーズ3勝を挙げた。4月川崎記念から体のことを考えながらやっていることがマッチして、ダービーは決勝3着。決勝は深谷知の番手回りを生かし切れずに悔しさも残る結果ながら、さらに状態は上向いている。吉田は昨年終盤、今年前半と落車が続いたが、ようやく立て直してきた。中盤戦から巻き返すためにもここから結果を残していきたい。浅井、吉田とスジの目標が豊富な金子にもチャンスがある。4月前橋では連日、番手を回って完全優勝。勝負強さを発揮するか。
3月玉野記念後の練習中に落車した村上義弘はダービーも欠場。もう練習は再開していてここから復帰してきそうだが、体調、レース勘と不安要素は多い。それでも6月に岸和田での高松宮記念杯を控える近畿勢にとっては不可欠な存在。まずは勝ちあがり戦の走りで状態を判断したい。脇本雄太は本来の力強さを取り戻しつつある。まだ新体制となったナショナルチームでの練習と実戦とがかみ合ってない部分はあるが、4月西武園記念の準決勝では村上博のアシストもあったが平原康をまくらせず2着に粘った。ここも村上や南修二の援護を信じて風を切る。南も近畿勢にとって欠かせない戦力だ。失格、落車と悪い流れが続くが、ここも的確な仕事でラインを勝利に導く。
4月川崎記念で優出、ダービー2勝した中川誠一郎は着実に復調。ダービーの二次予選では中団確保から豪快にまくって、マークの大塚健一郎とワンツーを決めた。ここも仕掛けがハマればその再現も十分だろう。諸橋愛、中村浩士も争覇級の追い込み型。鋭いキメ脚で優勝争いに加わってくる。