雷神バンクで熾烈なV争い
ダービーでは珍しく早々と二次予選で勝ち上がりの権利を失った松浦悠士。だが、このシリーズだけで評価は落とせない。全日本選抜着、ウィナーズカップ着と今年はビッグレースで連を外していなかったし、優勝も2月奈良記念、4月川崎記念で飾っている。今年の連対率は約7割で安定感は際立っている。ウィナーズカップで好走したばかりならいいイメージで走れるはずで、信頼性は最も高いとみて中心視した。中四国ラインで小倉竜二が松浦を盛り立てる。46歳のベテランながら差し脚に陰りは見られず、4月高知では得意のハンドル投げでVをゲットしている。松浦とは連係実績もあり、中四国勢で連独占は大いにありそうだ。
安定感なら古性優作も引けを取らない。今年は全日本選抜で優勝し、早々と暮れのグランプリ出場権を手中に収めると、その後もウィナーズカップ着、4月平塚記念着と連対ラッシュだ。ダービーは絶好調といえるような動きではなかったものの、準決は脇本雄の逃げを差して決勝に乗っている。好位キープして自力を出せれば主役を演じる場面は十分。
吉田拓矢も有力な優勝候補の一人だ。今年は初戦の1月立川記念でいきなり優勝と好スタート。その後は優勝には手が届いていないものの、G3の準決では連を外していない。ダービーのゴールデンレーサー賞では平原康に差されたものの、清水裕の逃げをまくりで仕留めたレースは力強かった。機動力を遺憾なく発揮できれば首位に躍り出ても不思議ではない。対照的に宿口陽一は一息不足の場所が続いている。ダービーでは3走目に落車のアクシデントに見舞われただけに、体調にも一抹の不安が残る。
地元勢は強大な勢力を誇っている。眞杉匠、坂井洋、長島大介、隅田洋介らスピード豊かな自力型ばかりだ。中でも眞杉はパワー溢れる競走を演じていて、機動力を猛アピール。3月名古屋記念の決勝で松浦悠のまくりを許さず逃げ切ったレースは素晴らしかった。ダービーでも二次予選では豪快な仕掛けで2着以下を5車身千切ると、準決も先行して3着に粘り昨年に続き決勝進出を果たした。自力攻撃の破壊力ならSS班の自力型に見劣りしない。坂井と長島は両者ともにダービーでは一次予選をクリアできなかったものの、2走目に1勝を上げていて調子そのものは悪くなかった。動ける選手が多く幅広い作戦が立てられるだけに、好連係を決めれば60周年大会の神山雄以来となる地元勢のVゲットも考えられる。
新鋭・山口拳矢も優勝争いを賑わす。スピードには素晴らしいものがあるが、最近は位置取りにも意欲を見せている。ダービーの準決では、先制ラインの3番手で外並走となったが、インの渡邉雄を決めて3番手を奪取した。好位占めて自力を出せれば勝ち負けに持ち込める。