• 第67回高松宮記念杯競輪GⅠ6/16〜6/19

高松宮記念杯競輪

中部勢が不退転の決意

浅井康太

浅井康太

平原康多

平原康多

吉田敏洋

吉田敏洋

新田祐大

新田祐大

村上義弘

村上義弘

  •  名古屋の地にまたG1が戻ってきた。3月のダービーに続き、名古屋競輪場を舞台に「第67回高松宮記念杯(G1)」が6月16日~19日の日程で開催される。渡邉一成、村上義弘、中川誠一郎と今年は異なる地区からG1覇者が出ており、例年に増して群雄割拠の様相だ。中盤の第4戦を制するのは果たして。

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インタビュー

  • 原田
  • 研太朗
  • 今度こそ準決の壁を破る

  •  昨年は3月京王閣ダービーを皮切りに3度のビッグ優出と一気にブレイク。今年からはG1でも初日特選からスタートし、2走目は優秀戦を走るなど勝ち上がりは理想的だが、「スケベ心を出しすぎなんですかね」と、あと一歩のところで決勝進出のチャンスを逃し続けている。
     「準優には行けてるけど、決勝に乗れてないのはある。今年はもうひとつ波に乗れてないですね」
     現状を打破するために4月函館F1からはギアを3・86に、全プロからはパイプを換えた新車を投入した。
     「ギアは92から下げたけど、意外といい感じ。新しい刺激が欲しくて換えたフレームは流れがあって上でやるにはいいかも。前のほうがまくりの切れはあるので、まだどっちで行くかは分からないですけどね」
     今回も特選から、そして初の白虎賞からスタートする。「後半戦になればなるほど周りは仕上げてくる。僕も遅れを取らんように。そろそろ決勝に乗りたいです」。今度こそ準決勝の壁を打ち破って、波に乗りたい。

  • 金子
  • 貴志
  • 中部勢の勢いに乗って

  •  昨年は8月函館サマーナイトの落車で恥骨と坐骨にヒビが入ったが、「退院してすぐに無理やりウエイトをやったのがよかった」と急ピッチで回復。走るたびに感覚を戻すと、3月名古屋ダービーでは準決勝で深谷知の逃げをとらえて決勝に進出した。
     「中部の先行選手はみんな強い」。深谷、竹内雄ら若手の台頭で最近は番手回りも増えてきた。「地味にキツイ」と言いながらも全プロの初日にはライン3番手で前を回る浅井康の動きにしっかり対応するなど、追い込み型としての経験値も増している。
     「深谷も近くにいるし、最近はそういう(追い込みの)練習もできてる。付いてて一杯一杯じゃ迷惑がかかるし、しっかり自分の仕事ができるように。もちろん前がいなければ自力の準備もしてます」
     全プロ競技のスプリントは中川誠に敗れたが、「宮杯に向けていい刺激が入った。モチベーションが上がる」と笑顔。「悔いのないよう準備する」。今年2度目の地元ビッグへ、心身ともに戦闘モードに突入だ。

  • 芦澤
  • 大輔
  • 冷静に状況を判断して

  •  静岡ダービーの特選では、「村上さんに競る意味は大きいし、失礼のないように」と、腹を固めて脇本雄の番手で村上義との競りを演じた。その後は武田豊と3度の連係でシリーズを9352着で終えた。
     「前はガムシャラにやればいいと思っていたし、それを評価してもらえたけど。やっぱり状況判断ができる人は強いんで」
     ビッグ初優出を遂げた11年の共同通信社杯から5年の歳月が流れ、芦澤にも変化が見られるようになってきた。
     「常に攻める気持ちは持っている。関東ではしっかりと連係したいし、前と後ろの関係は相思相愛でありたい。(目標不在で)自分が自力を出すって言ってもまくり、まくり追い込みになっちゃう。そのなかで周りを見られるようになってきた」
     ひたすら“まっしぐら”から大人の芦澤へ。冷静な判断力を磨いている。
     「G1の決勝に行くのが目標とするところ。それを何年も言ってきたけど、実現できていない。その思いは変わらない」
     G1決勝の舞台を見据えながら、芦澤は進化を続ける。

  • 竹内
  • 雄作
  • 納得の走りを追い求めて

  •  2周以上を踏んだ全プロ記念の初日では、稲垣裕、郡司浩を不発にして浅井康の勝ち星に貢献。5着に沈んだものの、納得の内容だった。逆にまくりで1着の最終日を、竹内は苦笑いで振り返る。
     「いつもああいうところが弱いところなですよね…。初日みたいなレースをずっと続けていかないと。そこをやっていかないとG1では戦えない。(番手を回る浅井、金子貴らとの)ゴール勝負をしていくことを考えているので」
     昨年はオールスター、競輪祭で2度のG1優出。今年も名古屋ダービーで優出を果たした。しかしながら、競輪祭では村上義に突っ張られ、名古屋では近畿の2段駆けに屈して大敗を喫した。先行日本一の呼び声も高いが、大舞台のファイナルでは力を出し切れていない。
     「練習でも、もうひとつなにかやることがあると思う。(G1に向けて)合宿とかもやる訳じゃないし、調整できるタイプではない。地元地区だから頑張りたいけど、そこはいつも通り平常心でいきます」
     中部の原動力。竹内が気負うことなく大一番に臨む。

  • 深谷
  • 知広
  • 鍵を握る“まくり”

  •  今年G戦線で挙げた8勝のうち7勝が逃げ切りでのもの。1月、浅井康を振り切った大宮記念決勝が、まくりでの唯一の勝ち星だ。近況も高知記念で先行策から2勝をマーク。続く静岡ダービーでは特選で上がり11秒2のタイムを叩き出し金子貴を振り切り、準決では迷いなく風を切って近藤龍とのワンツーを演出した。
     「自分でも掛かっている感じがあった。タイムも悪くないし、調子はいいと思う」
     圧巻の逃げ切りをこう振り返った深谷だったが、ゴールデンレーサー賞は7番手で不覚を取った。
     「先行の感覚はつかんでいるけど、まくりになると…」と、新田祐に主導権を握られた決勝でも不安は露呈した。
     その課題に取り組みながら迎えた全プロ記念を91着。初日は早坂秀の突っ張りにシンガリに沈んだが、最終日は堂々の押し切り勝ち。
     「今回はそんなに絶好調ではなかったんで、(体の)リカバリーとかケア。そこですね」
     多くのファンが待ち望むG1の頂点へ返り咲き。まくりへの対応が、復権への大きな鍵となろう。

  • 佐藤
  • 慎太郎
  • 試行錯誤の答えが出れば

  •  「ちょっと頭打ちになってる感がありますね」。佐藤は近況をこう説明する。昨年のギア規制で輝きを取り戻し、今年も2月全日本選抜で決勝2着とG1開幕戦から好スタートを切ったはす。それでも感じる閉塞感は、佐藤が求めているものがさらに高いところにあるからだ。
     「反応をよくして新田(祐大)や(渡邉)一成、(早坂)秀悟のダッシュに余裕を持って付いていきたい。そのために名古屋ダービーのあとからセッティングやシューズを試してるけど、感じがいいなと思うことは少ない」
     一番頭を悩ませているのはシューズだ。「そこが完成しないとフィット感が得られない」。宮杯までに届くだろう新しいシューズに、期待感を募らせる。
     スケジュールも過密。全プロのあとは宇都宮記念、福井F1を走って宮杯となるが、「走りながら、一緒にレース勘も鍛えていければ」とその点に不安はない。「ひとつの目安にしている」と話す宮杯までに理想の感覚がつかめるのかに注目だ。

  • 稲川
  • 与えられた仕事を最大限に

  •  一昨年の高松宮記念杯でグレード戦初制覇。タイトルホルダーの仲間入りを果たしたが、その後は怪我に泣かされ続けた。昨年12月の伊東記念でも左ヒジを脱きゅう、骨折。2カ月以上を棒に振ったものの、復帰3場所目の川崎で記念初Vを飾った。
     「結果が出てくれるのが、モチベーションにもつながる。周りが後押しをしてくれる。それが今の自分がある理由です」
     逃げた脇本雄を追い込んで、高松宮記念杯以来の優勝。遅すぎた通過点。周囲の支えに、川崎では涙がこぼれた。
     「僕はスーパースターにはなれない。だから与えられたことを最大限にできるように、努力していくしかないと思っている」
     川崎記念に続き平塚F1でも優勝。静岡ダービーでは優出と軌道に乗ったかに思われたのもつかの間。全プロ記念の最終日に落車のアクシデント。幸い大事には至らず、翌日の全プロのケイリン競技で決勝にコマを進めた。
     「治しながらやるしかない。一戦、一戦、ラインのなかで、自分になにができるかを考えて」
     近畿勢を支える陰の立役者に迷いはない。

  • 巨人
  • ひとつ、ひとつが結果に

  •  今年は地元、名古屋で2度のビッグが開催される。第一弾の3月ダービーでは二次予選で敗退。さらに、5月ダービーでも結果を残せなかっただけに、今回に賭ける想いは強い。
     「(5月ダービーは)ちょっと仕上がり具合が足りなかったですね。でも、その中で愛知勢が(立て続けにビッグで優出して)盛り上がっているので、その流れに乗りたいですね。6月までは気が抜けません」
     仲間の活躍が林に活力を与えた。刺激をエネルギーに変え、日々の戦いに集中する。
     「一戦、一戦、結果を出していきたい。その結果が宮杯につながると思うので。F1でも、記念でも上を見て。常にいろいろ意識して考えながらですね」
     本番はいよいよ目前。万全の準備を整え、今度こそ大舞台で結果を出す。
     「6月のアタマに金子(貴志)さんとかG1メンバーで宮杯に向けた合宿をします。そこで練習して、脚を仕上げたいと思います」

  • 木暮
  • 安由
  • 準備を整え、いざ大舞台へ

  •  今年はF1戦で3Ⅴ。「レースも見えてるし、道具の不安もなくなった」と状態は万全だった。しかし、3回のビッグなどG戦での優出はゼロ。木暮は自らと向き合い、足らないピースを捜し求めた。
     「今は長い距離をモガけるようになるのが課題です。あと100mくらいモガける距離が長くなれば、安定感が出て、G戦でも常時決勝に乗れると思います」
     前回、静岡ダービーでは準決勝で敗退。後一歩で優出を逃しただけに、次こそはの思いは強い。さらに、改修工事をしていた地元前橋バンクも使用に可能になり、抜かりなく宮杯に臨む。
     「静岡ダービーは力を出し切ったとは思います。でも、勉強不足も、力不足も感じましたね。(宮杯までは)いつも通りの調整で臨みます。でも、バンクに入れるようになるのは大きいですね」
     状態は引き続き良好。変幻自在な魔術師が、今度こそ名古屋バンクに魔法をかける。
     「調子は良いので、キープできれば花が咲くかな。今度こそ準決を突破して決勝へ」

  • 村上
  • 博幸
  • 1年半ぶりの手応え

  •  完全復活は目前だ。落車禍に苦しんだ昨年、G1最終戦の競輪祭で決勝に進出したが、本調子には遠かった。手応えを感じたのは2月の全日本選抜。予選から村上らしいキメ脚が冴え渡った。
     「もともとは一昨年のヘルニア。出走本数もあって無理して走ったり、ケアを怠ったところからスランプがはじまった。それが抜けたかなと感じたのが全日本でしたね。『意外に自転車が出るな』って。全日本では気持ちがついてきてなかったけど、今は気持ちと体がともなってる」
     宮杯出場は3年ぶり。そしてG1では今年初の特選スタートだ。「一昨年は自粛期間で、去年は怪我で宮杯に出られなかったけど、今回やっと白虎賞からスタートできる。戻ってこれたかな」。村上は感慨深げにこう話す。
     復調を実感し、勝ち上がりに有利な特選からのスタート。毎年6月は疲れの出る時期だが「そこは上手く調整して」と気を引き締める。「1年半ぶりぐらい」と話す現在の体調と手応えを維持して臨めればチャンスは十分。優勝で高らかに復活を宣言する。

  • 諸橋
  • G1獲りへ信念を持って

  •  全日本選抜、2度のダービーと今年はすべて特選からのスタート。G1奪取のために昨年から下準備を重ねてきたものの、10年の高松宮記念杯以来のG1優出は、まだ果たせていない。
     「今の時点では獲れる位置にはいると思っている。獲りたいっていう強い思いのなかで、自分のやっていることに信念とプライドを持ってやっている」
     連日、平原康、武田豊の3番手だった全プロ記念。「スーパープロピストレーサー賞」では、武田に差し返されて僅差の2着。悔しさと同時に2人の圧倒的なエネルギーを肌で感じた2日間でもあった。
     「平原と武田さん。あの2人と一緒のレースに乗らないとダメだって感じた」
     平原、武田と同じ頂へ。そのために諸橋は、地元の新潟で自らを追い込む。
     「自分がもっと向上していかないと。肉体改造できる年齢まで50歳でも60歳でもアップさせたい。新潟の厳しい環境がいまの諸橋をつくっているんだと思うし、そのなかで気持ちを大事にして走っていく」
     郷土の誇りを胸に、諸橋が初戴冠へ差し脚を磨く。

  • 吉田
  • 敏洋
  • 信じた道を突き進む

  •  気合いを入れて臨んだ3月地元ダービーは二次予選で敗退と悔しい結果に終わったが、5月静岡ダービーでは積み上げたモノが形となり見事準Ⅴ。自らの信念、そして中部の絆を再確認した。
     「静岡の結果は別として、すべてを任せられる後輩達が出てきてくれた。浅井(康太)であったり、竹内(雄作)とかが頑張ってくれる姿勢を作り出せたのは、自分がやってきたことが間違っていなかったのかなと思います」
     その後も「6月(宮杯)までは少しも気が抜けない状況が続く。そういう緊張感が良い方向に回ってる」との言葉通り、続く平塚記念では連日、自力を出して2637着。全プロでも13着と一戦、一戦を集中し、今年2度目の地元ビッグに照準を合わせている。
     そして、本番はもう目前。心技体を充実させ、今度こそ地元で躍動する。
     「今後も自分の戦い方は変わらずに。良いリズムできているし、モチベーションも下がっていないです。このまま6月(宮杯)まで突っ走りたい」

推奨選手

  • 笠松
  • 信幸
  •  Pick Up 1

  •  名古屋ダービーでは4角ハコ回りの絶好の展開も、4着で初戦敗退。その悔しさを今回晴らすため初日に集中だ。静岡ダービーは着と3度確定板入り。良い状態を維持している。

  • 山田
  • 英明
  •  Pick Up 2

  •  名古屋、静岡ダービーはともに準決勝に進出。名古屋は深谷知を相手に得意のまくりで奮闘した。惜しくも1/4輪差届かず4着敗退も、上位陣との差を着実に縮めている。

  • 牛山
  • 貴広
  •  Pick Up 3

  •  静岡ダービーでは13年の立川以来、3年ぶりのG1優出。今では人の後ろを回る競走にすっかり慣れ、落ち着いたレースぶり。特別戦線で上位陣と互角に渡り合い、結果も残している。

  • 吉田
  • 拓矢
  •  Pick Up 4

  •  期待のルーキーが早くもG1初出場だ。昨年特進し、初戦の11月京王閣記念で準Vするなど、破竹の勢いでトップクラス入り。初のG1でどこまでやれるか、4日間走りに注目だ。

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