雨中の激戦を制する
当所名古屋で今年2度目の特別競輪。このチャンスに「競輪人生を賭けて」挑んだ地元中部勢を、新田が閃光のまくりで切り裂いた。
「平原さんは駆け出しのスピードはものすごいですし、諸橋さんのブロックも来るだろうから、先頭に立つまでが勝負と思ってました。予想外だったのは郡司君の内に浅井さんが粘ったこと。郡司君も中団にこだわったことでまくり易くなったと思います」
今夏のリオ五輪はまさかの落選。「(出場選手には)頑張ってほしいという気持ちと、悔しさというのもあった」と本音を漏らす。しかし、その屈辱を力に変え、目前の一戦に集中。「絶対に優勝しようと思ってました」との通り、見事悔やしさを晴らした。
「レース前から山崎さんに『優勝するように走ってくれ』と言われて気持ちが入った。僕に勝つレースをさせてくれたのは嬉しかったし、その気持ちを無駄にしないようにと。自分のタイミングで行きました。ただ、山崎さんとワンツー勝負の夢は叶わなかったのは残念ですね」
これで年末のグランプリ出場も決定したが、余韻に浸る暇はなし。すぐに迫り来る勝負、さらにグランプリまで手は緩めない。「今年に入った瞬間から年末に向けて目標を立ててました。ダービーは(決勝)3着、6着と目標からかけ離れたけど、賞金で狙える位置に入って(今回確定させ)。このあと久留米からとてつもないスケジュールが9月の共同杯まであるんですけど、それをクリアーしていきながら、グランプリを目指していきたい」。
ここまで調子落ちだった郡司は当所で一変した。あれよと言う間に勝ち上がると、気が付けば快挙と言ってもいい準優勝。
「キツかったけど、冷静に見れました。新田さんが勢い良く来たときに、山崎さんは口が空いているのが見えたので入っていきました。前は遠かったですね。これでまた目標ができました。今日は単騎で警戒されてなかったからだけど、ラインで走るときにも頑張れるように力を付けてきます」
平原は脚力の違いをまざまざと見せ付けられる結果に。
「車番が悪いからああいう展開になるとは思ってました。自分も22秒6くらいで行ってるけど、それで行かれたんだから仕方ない。埼玉クラスの先行力では太刀打ちできないですよ。でも、今日のレースは自分でも納得です」
(見出し) 吉田敏は悲願のV叶わず
動向が注目された浅井は外を踏むレースができず、内容を悔やむ。
「平原さんがあそこまで駆けるとは思わなかった。油断しました。吉田さんからも『打鐘先行は期待していない』と言われてたし、ホームからカマすか、昨日みたいな走りができればと思ってたけど。今日が1番感じが良かっただけに、仕掛けられず悔いが残りますね。うしろに迷惑をかけてしまいました。展開を作れなかった自分が悪い」
吉田はホームバンクの特別2戦に全てを賭けたが、悲願の初Vはならず。
「任せた結果だし、僕がコントロールできることではないので。レースに関しては言うことは何もない。浅井も3着に入った訳だし。今日のレースは結果優勝はできなかったけど、手の届くところまでは来ているのは間違いないので。俄然、16年後半はヤル気が出てきたのは確かです」
当所は相性抜群の村上。しかし、今回ばかりはチャンスはなかった。
「中部が前だったから、最後方に置かれることはないと思ってたけど…。(レースの)動きがなかったですね。仕掛けるポイントというか、その前に内側から位置が取れなかった。平原君は掛かってたけど、新田君も強かった」
山崎は新田を追えず、シンガリ負けに終わる。
「新田は『(いつ)行くのか、行くのか』って構えてたけどすっ飛んでいったね。僕も追い掛けたけど後輪がスリップして…。気合は入ってたけど、空回りしましたね。でも、新田が優勝したのでよかったです」