• 第67回高松宮記念杯競輪GⅠ6/16〜6/19

後記 GⅠ 名古屋 06/16

雨中の激戦を制する

新田祐大

新田祐大

新田祐大

新田祐大

 当所名古屋で今年2度目の特別競輪。このチャンスに「競輪人生を賭けて」挑んだ地元中部勢を、新田が閃光のまくりで切り裂いた。
 「平原さんは駆け出しのスピードはものすごいですし、諸橋さんのブロックも来るだろうから、先頭に立つまでが勝負と思ってました。予想外だったのは郡司君の内に浅井さんが粘ったこと。郡司君も中団にこだわったことでまくり易くなったと思います」
 今夏のリオ五輪はまさかの落選。「(出場選手には)頑張ってほしいという気持ちと、悔しさというのもあった」と本音を漏らす。しかし、その屈辱を力に変え、目前の一戦に集中。「絶対に優勝しようと思ってました」との通り、見事悔やしさを晴らした。
 「レース前から山崎さんに『優勝するように走ってくれ』と言われて気持ちが入った。僕に勝つレースをさせてくれたのは嬉しかったし、その気持ちを無駄にしないようにと。自分のタイミングで行きました。ただ、山崎さんとワンツー勝負の夢は叶わなかったのは残念ですね」
 これで年末のグランプリ出場も決定したが、余韻に浸る暇はなし。すぐに迫り来る勝負、さらにグランプリまで手は緩めない。「今年に入った瞬間から年末に向けて目標を立ててました。ダービーは(決勝)3着、6着と目標からかけ離れたけど、賞金で狙える位置に入って(今回確定させ)。このあと久留米からとてつもないスケジュールが9月の共同杯まであるんですけど、それをクリアーしていきながら、グランプリを目指していきたい」。
 ここまで調子落ちだった郡司は当所で一変した。あれよと言う間に勝ち上がると、気が付けば快挙と言ってもいい準優勝。
 「キツかったけど、冷静に見れました。新田さんが勢い良く来たときに、山崎さんは口が空いているのが見えたので入っていきました。前は遠かったですね。これでまた目標ができました。今日は単騎で警戒されてなかったからだけど、ラインで走るときにも頑張れるように力を付けてきます」
 平原は脚力の違いをまざまざと見せ付けられる結果に。
 「車番が悪いからああいう展開になるとは思ってました。自分も22秒6くらいで行ってるけど、それで行かれたんだから仕方ない。埼玉クラスの先行力では太刀打ちできないですよ。でも、今日のレースは自分でも納得です」
 (見出し) 吉田敏は悲願のV叶わず
 動向が注目された浅井は外を踏むレースができず、内容を悔やむ。
 「平原さんがあそこまで駆けるとは思わなかった。油断しました。吉田さんからも『打鐘先行は期待していない』と言われてたし、ホームからカマすか、昨日みたいな走りができればと思ってたけど。今日が1番感じが良かっただけに、仕掛けられず悔いが残りますね。うしろに迷惑をかけてしまいました。展開を作れなかった自分が悪い」
 吉田はホームバンクの特別2戦に全てを賭けたが、悲願の初Vはならず。
 「任せた結果だし、僕がコントロールできることではないので。レースに関しては言うことは何もない。浅井も3着に入った訳だし。今日のレースは結果優勝はできなかったけど、手の届くところまでは来ているのは間違いないので。俄然、16年後半はヤル気が出てきたのは確かです」
 当所は相性抜群の村上。しかし、今回ばかりはチャンスはなかった。
 「中部が前だったから、最後方に置かれることはないと思ってたけど…。(レースの)動きがなかったですね。仕掛けるポイントというか、その前に内側から位置が取れなかった。平原君は掛かってたけど、新田君も強かった」
 山崎は新田を追えず、シンガリ負けに終わる。
 「新田は『(いつ)行くのか、行くのか』って構えてたけどすっ飛んでいったね。僕も追い掛けたけど後輪がスリップして…。気合は入ってたけど、空回りしましたね。でも、新田が優勝したのでよかったです」

Race Playback

レース展開5
赤板から1浅井と6郡司とで併走となる
レース展開7
3平原がペースを上げるなか2新田も迫る
レース展開9
まくり切った2新田が後続を振り切ってV

レース経過

誘導員 : 渡邊健

 号砲で最内の浅井が出る。浅井に吉田―金子で中部勢が前団に構える。以下の隊列は新田―山崎、平原―諸橋、単騎の郡司、村上。
 平原は青板のバックから早めに上昇を開始。赤板手前で誘導を降ろして先頭に立つ。平原に諸橋が続き、3番手に下げた浅井は関東に続いた郡司と併走。その後ろも吉田―金子(イン)と単騎の村上、新田で併走となり山崎が最後方。主導権を握った平原が後続の隊列を確認しながら緩めるが、別線のアクションはなく平原は先行の腹を固めて徐々にペースを上げる。新田が外併走から4コーナーで巻き返して、最終回へ。
 逃げる平原も懸命に合わせるが、グングンと加速した新田が猛然と前団に迫る。スピードに乗った新田は、最終バックで平原をとらえる。山崎は新田に付け切れず、中団の外で力尽きる。浅井との併走に踏み勝った郡司が、まくりで新田を追いかける。浅井は立て直し、インから諸橋をどかし直線を迎える。
 まくりで前団を飲み込んだ新田は、そのままセーフティーリードを保ち押し切り優勝。1車身差の2着に郡司。追い込んだ浅井は3着まで。

ページトップへ