故郷で貫禄勝ち
「函館で優勝できて嬉しいですね」。生まれ故郷北海道での優勝に、武田の顔から笑みがこぼれた。
前回熊本記念を制覇しての参戦。勢いそのままに、シリーズを席巻するかに思われたが、「ピリッとしていない」と初日、準決をあと一歩で勝ちきれず。しかし、決勝では奇襲のカマシを放った岩津にスイッチする好判断。最後は番手まくりを放って勝負あり。今年度最後の開催となった函館で王者の貫禄を示した。
「ラインがあっての優勝です。(バック手前でまくったのは)地元の菊地君も付いてくれたし、その後ろに加藤君もいるんで考えて走ろうと。村上君もアクションを起こしたけど、山田君が出させなかった。彼がすごい強かったね。展開も早くて、最後は苦しかったけど、勝てて良かったです」
これで記念を2場所連続で制覇。「重要なレース」と位置付けた函館を制して勢いも十分だ。次はいよいよ競輪祭。GP覇者として挑む最後の大舞台へ準備は整った。
「これでいい流れで競輪祭に臨めますね。また、次に向けて頑張ります」
「もったいない」。菊地はレースを終えて開口一番にこう振り返った。地元制覇まであと一歩と迫ったが、結果は昨年と同様に2着。今年も悲願は叶わず。
「武田さんが強かった。落ち着いてゴール前勝負と思ったけど、さらに加速していきましたね。周りに言われていた赤いパンツの意味がわかりました。また来年の地元記念に向けて頑張ります」
無傷で決勝に駒を進めた村上だったが、決勝は山田を叩けず7着。しかし、力を出し切る競走でファンを沸かせた。
「出れなかったですね。初手はどこでもよかったし、後ろ攻めだったら勝てたという訳でもない。常にベストを尽くして、一戦一戦頑張るだけ」
一発を狙った岩津裕介だったが、武田に屈して8着。
「(橋本が離れて)1人だったですね。橋本君は付いてきてると思ってたので、どちらか優勝できれば御の字と思ってたけど。理想を言うならもう半周短かければ。最終バックで武田さんと村上さんが併走になってるくらいで。距離が長かった。武田さんは番手に入ってると思ってたんで、ペースで踏めば抵抗できるかと思ったけど、武田さんはもう踏んでた」