• 平競輪場開設65周年記念いわき金杯争奪戦1/23〜1/26

後記 GⅢ 平 01/23

SSの重圧を力へ

稲垣裕之

稲垣裕之

 連係した4松岡健介選手は不発も、まくりで5度目の記念優勝をつかみとった3稲垣裕之選手。近畿の結束力でSS班としての重責を果たし、ファンの声援に応える。

 武田豊、山崎芳、2人のSS班が脱落していくなか、昨年のグランプリで初めてSSのパンツに足を通した稲垣が充実の走りを見せた。
 「結果を残せてホッとしています」と、笑みを浮かべて優勝の味をかみ締めた。
 吉田と主導権争いを演じた松岡は外に浮いて万事休す。稲垣は関東コンビの後ろに割り込んで、3番手でチャンスをうかがった。
 「松岡が攻めてくれたおかげで、あの位置が取れた。そこからは近藤君のスピードが良かったし、自分も目いっぱい踏み込んだ」
 猛然とまくりで迫る近藤を合わせて、稲垣が渾身のまくり。準決で風を切った中井俊、そして松岡ら近畿勢の想いを背負い、先頭でゴールを駆け抜けた。
 「昨日の(中井の)走りで体にも気持ちにもスイッチが入った。昨日も今日も近畿の後輩が頑張ってくれた。近畿が一番大事にしているラインの競輪が見せられたと思います。本当にこのSSのユニフォームっていうのが力をくれる」
 初のグランプリ出場を果たした昨年だったが、悲願のG1タイトルを手にすることはかなわなかった。その思いを胸に今年最初のG1全日本選抜を迎える。
 「去年は近畿勢からG1の優勝が出てないんで、今年こそ。そして僕もその中のひとりになれるように」
 16年、SS班としての歩みはまだ始まったばかり。初々しさを残しながらも、その重圧を力へと変換させる稲垣が頼もしい。
 稲垣に続いて松岡にまで入られた吉本は、千葉コンビを追いかけながらまくり追い込みで強襲の2着。
 「稲垣さんに付いていけばなんてことはなかった。(松岡が)降りてくるとは…。ただ、(脚で)負ける感じはしなかったんで自信がついた。久留米(全日本選抜)はやれそうですね」
 近藤の勢いを借りて中割りを試みた山賀は3着。
 「敗因は力みですね。近藤は絶対に流れ込むことをしないと思っていたし、近藤が踏んだ時のイメージはできていた。それなのに…」
 松岡との踏み合いで脚を使わされた吉田は、まくった稲垣らにつかまってシンガリに沈んだ。
 「今日は出させる気はなかった。(諸橋には)行かせてもいいって言われたけど、これからのことを考えてああなりました」

Race Playback

レース展開3

レース経過

誘導員 : 和田圭

 スタートは内の3車でけん制になったが、近藤が誘導員を追い、周回は近藤―山賀―松岡―稲垣―吉本―坂本―大塚―吉田―諸橋の並び。
 吉田が上昇を始めるが、この動きを制して青板4コーナーから吉本が始動。ホーム過ぎで誘導員を下ろすと、吉田を受けて3番手を確保する。そこをすかさず松岡が叩きに行くが、吉田も踏み込んで打鐘から主導権争い。松岡は叩けず、併走を嫌った吉本が下げると、稲垣は3番手、その後ろに松岡も収まる。8番手になった近藤は、まだ浮いていた松岡を目掛けてホーム手前から巻き返し。グングン前団に迫るが、察知した稲垣も2コーナーから合わせてまくって出る。諸橋は対応できず、バック線ではやや前に出ていた近藤を内から合わせ切った稲垣がそのまま押し切って優勝。近藤マークの山賀が2着入線かに、脚をためた吉本が大外を強襲した。

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