武田豊が勝負強さ見せる
昨年はG1を2勝、記念5V。年間を通してファンの期待に応えてきた武田豊樹が、16年も変わらず圧巻のパフォーマンスを披露する。関東3車の先頭を担ったグランプリ(GP)では好位確保からまくりを放ったものの、合わせて出た村上義との踏み合いで8着に沈みGP連覇はかなわなかった。それでも別線に与えた脅威、そして存在感は武田ならではだった。山崎芳仁、稲垣裕之ら他地区のライバルと比較しても、レースへの順応力、位置取りなど総合的な力では武田が一枚上とみる。さらに、シリーズの鍵を握っているといっても過言ではないのが、同県の後輩、吉田拓矢の存在だ。3場所連続の完全VでS級特進を遂げると、S級初舞台となった昨年11月京王閣記念を2着。タイヤ差で優勝を逃しはしたが、いきなり記念ファイナルへとコマを進めて一躍シリーズの注目の的となった。さらに1月静岡ではS級初Vもゲット。その吉田が優出するようなら、武田には願ってもない番手が回ってくる。吉田の番手から有利に運ぶことができれば、V確率もグッと上がってくる。差し脚切れる諸橋愛は、武田の後ろから虎視眈々。
山崎、佐藤慎太郎、岡部芳幸と地元勢は力とネームバリューのある選手たちが顔をそろえた。3年ぶりのGP出場でSS班にも返り咲いた山崎。昨年から実施されたギア規制の波に飲み込まれることなく、早々にG1を獲得するとその後は記念2V。9月の岐阜記念では武田とのまくり合戦を制して優勝をもぎ取っているように破壊力は抜群だ。3度の記念優勝に10年には悲願の地元G1Vを遂げた平は、ツボを心得たバンク。別線が隙を見せると先行策も厭わない積極性も持ち合わせている山崎が、北日本勢をリードして流れを呼び込もう。まだ、地元での記念Vがない佐藤は、山崎とのタッグからソツなく立ち回る。
初めてSS班の重圧を背負う今年は、稲垣にとって正念場。昨年は悲願のG1タイトル獲得はならなかったが、2度のG1表彰台でGP出場を果たした。調子を崩した夏からもしっかりと立て直して、近況は満足のいく状態で戦えている。村上義の参戦のない今シリーズは、近畿の代表として結果が求められる。近畿地区の中心を担い、ケレン味ない組み立てから持ち前の機動力を発揮する。
1年半の2班暮らしを経て、今期初の1班へと上がった近藤隆司は、4日間のシリーズを組み立てやすくなったことは間違いない。昨年は2班ながらも記念で4度の決勝進出は、胸を張れる数字。近況はまくりに偏った決まり手が示すように先行回数は減っているが、打鐘から逃げても粘れるだけの脚力はある。仕事確かな渡邉晴智と南関ラインを盛り上げる。
吉本卓仁、大塚健一郎の九州コンビ。昨年のSS班での経験がプラスに作用している岩津裕介。名古屋ダービーという目標に向かって日々まい進している吉田敏洋も絶好調といっていいデキで、展開ひとつで浮上がある。