• 川崎競輪場開設99周年記念桜花賞・海老澤清杯4/9〜4/12

後記 GⅢ 川崎 04/09

稲川翔が復活のⅤ

稲川翔

稲川翔

 5脇本雄太選手が別線を完封して逃げると、最後は番手の2稲川翔選手が好機をモノにして記念を初制覇。仲間からの手厚い祝福に笑みがこぼれる。

 「ここまで正直、苦しかった」。相次ぐ落車で、初のS班は一年で陥落。不安と焦りが自身を襲ったが、稲川は常に前だけを見続けた。そして、逆境を乗り越え初の記念Vをつかんだ。
 「ワッキー(脇本)を抜いた感触はなかったですね。でも、ゴール後に藤木に『獲ったか』と言われてジーンときました。(記念優勝は)ひとつの目標にしていましたし、腐らずにきたことが良かったですね。でも、怪我もあって、まさかこんなに早く獲れるとは思わなかったです」
 昨年、12月の伊東記念で左肘を骨折し今年は全日本を欠場。心が折れそうになる中、支えてくれたのは近畿の仲間たちだった。
 「一番苦しかったのは、今年の全日本を病院で見ている時ですね。自分は本当に走れるのか。今の現状と違いすぎて。でも、(村上)博幸さんとか、南(修二)さんとか村上(義弘)さんとかが親身になって気にかけてくれたし、村上さんが(3月ダービーで)優勝してくれて、感化されました。ワッキーも頑張ってくれたし、ちょっとずつ何かの形で恩を返していきたいです」
 F1戦をはさみ次はいよいよ静岡ダービー。自信を取り戻した稲川が、再度大舞台で輝きを放つ。
 「レースの中で恐怖心はないですし、走る以上は自分のやることをやろうと思っています。大きいところで、また優勝争いができるように頑張ります」
 準決と同様に力強い先行を見せた脇本だったが、惜しくも準V。
 「風はそんなになかったんですけどね。ただ、稲川さんが仕上がっていました」
 近畿3番手を固めた藤木が3着。しっかり内を締めて、稲川の優勝に貢献した。
 「自分も優勝は狙っていました。次に自分が番手を回った時は獲れるように」
 新田は5番手からまくるも、伸びを欠いた。
 「本当は郡司君の位置が欲しかったです。郡司君が(2センターで)止まっていて、あの外はダメだとわかっていたけど、いくしかなくて。あれが精一杯です」
 4番手からまくった郡司だったが、地元Vは叶わず。
 「位置を取ったけど、それで終了です。改めて力勝負をして、敵わない相手でした。こういう(脇本のすんなり駆けの)ときの戦い方を覚えていかないといけないし、それ以上の力を付けないといけないですね」
 GP覇者の浅井は後方に置かれ、まさかの8着敗戦。
 「新田君がいくと思って。ワンテンポ遅れてしまいました」
 2度目の記念決勝に挑んだ松浦だったが、郡司と呼吸が合わなかった。
 「(最終ホームで)新田さんなら入れてもいいと思って、引けと言ったら新田さんが引いてきてしまいました。その後は浅井さんだけは絶対にいかせないと思いました。申し訳ないです。次はミスをしないように」

Race Playback

レース展開3

レース経過

誘導員 : 山田幸司

 ゆっくりとしたスタートから浅井康太が誘導員を追って正攻法に構える。大塚が続いて、この両者で前受け。以下は新田-郡司-松浦-古屋-脇本-稲川-藤木の並びで周回を重ねる。
 脇本の上昇を制して中団から郡司が先に動く。浅井が車を下げて誘導後位に入った郡司は、脇本を受けて4番手に収まる。同じく4番手を狙った新田は郡司のけん制を受けるが、郡司後位の松浦が口が空いてるのを確認すると5番手で立て直す。ホームから徐々に踏み上げる脇本に対し、7番手から浅井が一番に巻き返しを見せるが思うように車は出ず1車前の松浦の外で一杯に。車間を切ってバック手前から仕掛けた郡司も脇本の強烈な踏み直しの前に伸びを欠く。これで番手絶好になった稲川は粘る脇本をゴール寸前で捕らえ待望の記念初Ⅴ。新田の強襲をしのいだ藤木も3着に入り、近畿で上位を独占した。

ページトップへ