• 久留米競輪場開設99周年記念中野カップレース10/20〜10/23

後記 GⅢ 熊本 10/20

故郷に届いた「底力」

中川誠一郎

中川誠一郎

 3番手確保からまくりを放ち、逃げる9早坂秀悟をゴール寸前で捕らえた1中川誠一郎選手。万感の思いで表彰式を終えたあとは熊本の仲間全員で肩を組み記念撮影をする。 

 歓喜の静岡ダービーから5カ月。中川がまた劇的なドラマを演出した。準決は普段は見せないヨコを駆使し、気迫で脇本の番手を死守。ラインを固めた桑原に「今まで見たことがない」と言わしめたほど。また当所に向けハードに練習したため、前回の寬仁親王牌はオーバーワークに。それほど今回に賭ける意気込みは大きかった。最後は自らの脚でナショナルのチームメイト・脇本、早坂を下し、地元記念を勝ち獲った。
 「今年は最高の年ですね。最後は力を出せたけど、ホントにラインと展開って感じで。秀悟は1回引いて出て行くと思ったけど退かしてきたので。そこからはワッキー(脇本)が止まったのが見えたので行けると。(井上)昌己さんのひと振りと、ラインを固めてくれたおかげです」
 震災から半年を経たが、まだ復興にはほど遠い状況が続く。今後も「走り」で故郷熊本へ力を届ける。
 「熊本だったらもっと最高なんだけど、地元記念は初優勝なので嬉しい。早く復活して欲しいし、熊本バンクで走れる日が来るまで頑張りたいと思います」
 井上は好アシストし、仲間の優勝を喜ぶ。
 「最高の展開でしたね。ワッキーが来たら俺が頑張ろうと。ワッキーが見えたので1回振ったら止まったので。余裕があったしレースが見えてました。でもあれは交わせない。誠一郎が勝ってくれてよかった」
 「一瞬夢みました」と言うのは早坂。ゴール直前で交わされ涙を飲む。
 「動くのは俺かワッキーの2人だから、そこをどう攻略するかが鍵だった。誠一郎さんが切る前提で考えて、そこから退かして出てもいいし、出なくてもいいしで。形としては良かったけど、悔しいですね」
 永澤は決勝では早坂を交わせず。
 「決勝になるとまた雰囲気が違いますね。ずっと緊張しっぱなしでした。風が強かったのもあったけど、めちゃくちゃ脚が一杯で。車間を空けたら終わりました。前を抜けなかったのはショックですね。今日はあっても2着でしたね。もっと成長します」
 脇本は早坂の早い巻き返しで予定が狂った。
 「早坂さんが3番手でしかも内にいたのに、何でと思って。標識線を目掛けて行こうと思ってたら誘導が退避して、早坂さんが来て誠一郎さんも付いて来て。ブロックがなければ行けてたと思う。昌己さんは後ろを見ずにブロックしてきたから危なかった」

Race Playback

レース展開3

レース経過

誘導員 : 時松正

 号砲で東北両者がゆっくりと前に出る。早坂-永澤が前受け、中団に中川-井上-香川-桑原、後攻めの脇本の後位は林と神山で初手から競り合い。内、外を何度か入れ替わりながら周回を重ねる。
 青板周回のバックから脇本がゆっくり上昇。前受けの早坂は車を下げて、脇本が誘導員の後位に収まる。中団は併走になるが、早坂が外の中川を強引にどかして打鐘前から一気に踏み込む。中川が東北勢を追って3番手の位置をキープ。7番手まで下げた脇本は最終ホーム手前から巻き返す。しかし、早坂もペースを上げたため、脇本は4番手の外でスピードが止まってしまう。早坂が快調に逃げるなか、番手の永澤は車間を空けて援護。その後ろで脚を溜めていた中川は2センターから外を踏み込み、東北両者を鮮やかに抜き去って優勝を飾った。井上が2着に流れ込み、逃げた早坂が3着に粘った。

ページトップへ