故郷に届いた「底力」
歓喜の静岡ダービーから5カ月。中川がまた劇的なドラマを演出した。準決は普段は見せないヨコを駆使し、気迫で脇本の番手を死守。ラインを固めた桑原に「今まで見たことがない」と言わしめたほど。また当所に向けハードに練習したため、前回の寬仁親王牌はオーバーワークに。それほど今回に賭ける意気込みは大きかった。最後は自らの脚でナショナルのチームメイト・脇本、早坂を下し、地元記念を勝ち獲った。
「今年は最高の年ですね。最後は力を出せたけど、ホントにラインと展開って感じで。秀悟は1回引いて出て行くと思ったけど退かしてきたので。そこからはワッキー(脇本)が止まったのが見えたので行けると。(井上)昌己さんのひと振りと、ラインを固めてくれたおかげです」
震災から半年を経たが、まだ復興にはほど遠い状況が続く。今後も「走り」で故郷熊本へ力を届ける。
「熊本だったらもっと最高なんだけど、地元記念は初優勝なので嬉しい。早く復活して欲しいし、熊本バンクで走れる日が来るまで頑張りたいと思います」
井上は好アシストし、仲間の優勝を喜ぶ。
「最高の展開でしたね。ワッキーが来たら俺が頑張ろうと。ワッキーが見えたので1回振ったら止まったので。余裕があったしレースが見えてました。でもあれは交わせない。誠一郎が勝ってくれてよかった」
「一瞬夢みました」と言うのは早坂。ゴール直前で交わされ涙を飲む。
「動くのは俺かワッキーの2人だから、そこをどう攻略するかが鍵だった。誠一郎さんが切る前提で考えて、そこから退かして出てもいいし、出なくてもいいしで。形としては良かったけど、悔しいですね」
永澤は決勝では早坂を交わせず。
「決勝になるとまた雰囲気が違いますね。ずっと緊張しっぱなしでした。風が強かったのもあったけど、めちゃくちゃ脚が一杯で。車間を空けたら終わりました。前を抜けなかったのはショックですね。今日はあっても2着でしたね。もっと成長します」
脇本は早坂の早い巻き返しで予定が狂った。
「早坂さんが3番手でしかも内にいたのに、何でと思って。標識線を目掛けて行こうと思ってたら誘導が退避して、早坂さんが来て誠一郎さんも付いて来て。ブロックがなければ行けてたと思う。昌己さんは後ろを見ずにブロックしてきたから危なかった」