ラインの力を誇示
4車の南関勢が数的有利な流れをつくり出し、別線を黙らせた。
「みんなのおかげ。ありがたい」と、2度目の記念Vに石井が相好を崩す。
新山を警戒しながら、郡司が赤板で飛び出す。郡司に小埜、石井、武井と千葉トリオが出切った時点で、勝負の形勢は大きく南関勢に傾いた。
「小埜もあんだけ早めに(番手まくりに)行っているんで、キツかったと思う」
小埜が番手まくりを放つと、稲垣、新山は外に浮いていっぱい。小埜の後ろで脚を溜めた石井に、チャンスが訪れた。石井は小埜の渾身のまくりを直線半ばでとらえて優勝。
「G1を獲れるように努力する姿を見ていただきたい。レベルアップできるように、日々、競輪にすべてを注いでいきたい」
来年のG1戦線を見据えながら、決意を固める石井。37歳にして進化をやめない遅咲きのこれからに期待したい。
まだ見ぬ記念Vへ一心不乱にモガいた小埜だったが、無念の2着。
「郡司があそこまで行ってくれたんで、もう出るしかなかった。もうこれ以上ない展開だったんですけど…。獲れなかった、悔しい」
息が合わなかった稲垣との連結を外した中川は、悔やむことしきり。香川にすくわれて、最終バックを9番手で通過。そこからの猛襲も3着まで。
「稲垣さんが行ったと思ったら、戻ったんで外に差して降りられなかった。それで香川さんに…。あの1車がデカかった。バック入れたけど、抜けきらなくて。あれがなかったら届いてたんじゃないかって…」
新山の思惑を察知して抜かりなく主導権を握った郡司。最終ホームではペースを上げて、稲垣の反撃の芽を摘む好センスが光った。
「新山だけはと思って、あそこは集中しました。脚を使ってでもしっかり切るところは切ってと思っていた。ホームで自分がマックスくらいの感じでは踏まないとっていうのもあった」
南関勢に主導権を明け渡した新山は、前回の競輪祭決勝に続いて本来の力を出せず見せ場なく終わった。
「一緒に出て、(郡司を)合わせて先行するつもりでした。先に自分が切っておけば良かったです。本当に勉強不足でした…」