深谷知が圧巻の走り
レースは打鐘前から目まぐるしく動くなか、「早めに動いたんで1回下げたほうが。でも思ったより前で動いて想定外だった」と話す深谷は終始後方8番手。しかし、最終2コーナーから原田がまくり上げると、そこから一気にスパート。出切った原田を4コーナーでとらえるとそのまま後続をぶっ千切った。
「(優勝は)久しぶりなんで嬉しいです。原田君は踏み出す前から行っちゃうだろうなって雰囲気は感じた。その動きを見て自分も仕掛けて行こうと思った。思ったより伸びてよかった」
前検日に「ある程度いい練習ができた」と手ごたえをつかんで今シリーズを迎えていた。初日に逃げ切って好スタートを決めると、オール連対での優勝。「初日は先行できたけど、そのあとは3日間まくりになってしまった」。レース内容こそ反省するが、4日間見せたパフォーマンスは圧巻だった。
このあとは24日からの函館を走って京王閣ダービー。「しっかり脚を落とさないように練習して。ダービーに向けて仕上げていきたいです」。前半戦最大のヤマ場でも深谷の力走が見られそうだ。
深谷を後ろに置いて先まくりという展開は、原田にとって昨年12月の広島記念決勝と同じ。しかし、要所、要所のロスが勝負の明暗を分けた。
「中四国ラインやし(取鳥ラインの後ろ)そこは譲らんとこうと。単騎も入れるつもりはなかったし、死守して勝負。それなら中四国のみんなに優勝するチャンスがあるんで。でも昌己さんがしゃくってきたのがキツかった。(まくったとき)2コーナーのぼらされたし、2センター桑原さんのブロックでフワッとなった。あれがちょっとしんどかったですね」
井上が深谷と口が空いた芦澤を張りながら4コーナーから外に持ち出す。結果は3着だったが、組み立てを反省しきり。
「(最終ホームで仕掛けるのは)まだ長いかなと。ヤマシン(山本伸一)も仕上がっているから、あそこは…。それで俺がバック入れて、ハラケン(原田研太朗)がそのまま(まくって)行く形になった。中途半端でした。貴久に悪いことをした」
記念初優出の芦澤にとっては、ほろ苦い結果に終わってしまった。
「あのスピードで3コーナーをのぼられたら千切れる。限界値を超えている。ただ、いいカンフル剤になりました」
シリーズを通して力走を見せた取鳥。決勝戦でも果敢に最終バックを取ったが、原田のまくりに屈した。
「何もできんかった。4日間、バックを取っただけ。(山本の後ろに)入ったけど、流されたんでけっこう詰まって我慢できんかったです。1人で焦ってますね。また頑張ります」