諸橋愛がビッグ初制覇
デビューから20年。そして79回生としては初めて諸橋がビッグレースを制した。最終1コーナーからまくった平原がバックでけん制する新田の内に切り込むトリッキーな動き。「そこは想定外だったけど、冷静に対応できたかな」。遅れることなく続くと、4コーナーで新田を飛ばして粘る平原をゴール前でとらえた。
「正直、優勝できると思ってなかったのが本心だけど、チャンスがあればと思ってました。4コーナーでは抜けないなと思ったけど、ゴール前で抜けてるって感じがあったし、周りを見ながら誰もいなかったんで(優勝は)自分だなと」
今年の7月で40歳を迎えた。「自分は天才肌じゃない」。そう話す諸橋が遅咲きでビッグレースを制したのには、様々な出会いと意識改革があった。
「40歳で輝くことができるのは、周りや江嶋(康光・福岡・39期・引退)さんとかによくしてもらって。そういうのがなければ自分はここにいない。歳を重ねて体力が落ちてきたときに江嶋さんに出会って、自分の考えが足りないな。それが少しずつ分かってきた。2年、3年計画でトレーニングして、それが出てきたのが去年、一昨年。競輪というものをイチから考えてひたすらやった」
この優勝で賞金ランクは7位にジャンプアップ。「狙える位置まで来てるのかな。しっかり残りのG1や残りの試合に集中して、グランプリに出られたらなと思います」。後半戦も気を抜くことなく戦い抜いた先にグランプリ初出場が待っている。
平原は持ち味を存分に発揮した。俊敏な動きで北日本勢を翻ろうしたが、惜しくも優勝はならなかった。
「全開でカマシ気味のまくりで行きました。2段駆けは見えていたんで、越えられないと思ったんで内に行きました。優勝しか狙ってなかったんで。悔しい気持ちはあるんですけど、いつも戦ってる仲間なんで優勝と同じくらい嬉しい」
新田にとって平原の動きは想定外だった。渡邉の頑張りに結果で応えることができず、3着に終わったレースを悔しそうに振り返る。
「気持ちは入ってたけど、空回りしちゃったのが。(平原は)振れば合わせられると思ったし、そこ勝負してゴールまでと思ったら、内にすごい気配があって見たら平原さんがいたんで…。考えた結果、あの動きになったのが敗因になってしまった」