• 第26回寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント10/6〜10/9

後記 GⅠ 前橋 10/06

3度目も新田祐と

渡辺一成

渡辺一成

決勝優勝写真
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 昨年、全日本選抜で新田の番手から、念願の初タイトルを獲得した。2度目のG1Vとなった地元オールスターも、G1連覇を遂げた今シリーズも。通算3回のG1制覇は、すべて前に新田がいた。
 「すべて新田君の後ろからのレースなので、彼の走りに尽きるかなと思います。今回もそうだったんですけど、前後っていうのは(新田と)必ず話して決めている。どっちが前でもいいレースができるように。この恩を忘れずに、これからもずっと走っていきたい」
 岡村が愛知勢を分断に出ると、そこを浅井が切って先頭に立つ。新田はすかさず3番手に追い上げて、深谷は6番手。新田の瞬時の判断が渡邉をVに導いた。
 「浅井君がインを切ったところをしっかり追い上げてくれたし、深谷君のまくりに合わせてタテに踏んでくれた。すべて新田君が動いてくれたんで、僕は安心して付いているだけだった」
 たんに同県の後輩というだけでなく、新田はナショナルチームで苦楽をともにするチームメイト。新田の強さを誰よりも知っている。
 「本当に新田君もキツかったと思うけど、連日いいレースをしている。ナショナルチームの(練習の)疲れがあるなかで、限界以上の走りをしてくれた。僕も気持ちで負けないように走っていた」
 最終ホームから新田がまくり上げると、外にいた愛知勢とからまずに渡邉が続く。成田まで福島3車が出切った時点で勝負は決した。
 新田を内からとらえたオールスターでは、「ブサイクなレース。スッキリしない勝ち方だし、新田に申し訳ない…」と、笑顔はなかった。それだけに思い描いた通りに、新田を外から差し切っての優勝は、結果は同じでも前回とは違う勝利の味だろう。
 「11月の頭には(競技で)ワールドカップがあるので、まずはそこに備えて調整をしていく。競輪祭のあともワールドカップがあるので、(今年の競輪は)競輪祭とグランプリだけです。ダイナミックな走りとスピードあるレースを競輪祭とグランプリではしたい。ナショナルチームというインパクトを与えられるように」
 競技での海外遠征とトレーニングで、年内残された出場機会はあと2場所。北京、ロンドン、リオと五輪3大会連続出場の渡邉が、日本代表のプライドを胸にG1、3連覇の偉業に挑む。想定外の深谷知は不発
 新田はオールスターに続いての準Vで、渡邉とワンツー。
 「浅井さんが切りに行ったので、すかさず行かなきゃと思った。前まで行くかは悩みましたけど、その時のスピードと場所で。あとは深谷に合わせて出ていくだけだった。浅井さんの踏み返しはあっても、自分の力を信じて踏めばと」
 3着の成田は今年2度目のG1表彰台で、福島勢が上位を独占。
 「新田が本当にいいレースをしてくれた。(岡村のイン粘りで)あれでいい形になったんじゃないですか。新田もあそこで構えないでよかった。2人ともいいダッシュで、付いて行けてよかった」
 岡村の分断で狂った流れを修正できなかった深谷は、不発の8着。汗をぬぐい、言葉を振り絞る。
 「(岡村が)想定外。下げてからも仕掛けるタイミングがなかった。失敗です…」
 「やりたいことはできたし悔いはない」とは、深谷の番手で粘った岡村。初のG1決勝を振り返る。
 「福島の4番手を回るよりは、自分らしくやれたと思う。あのまま深谷君が駆けてくれれば…。しょうがない、勝負した結果なんで。(深谷が下げたんで)前に行こうとしたら(内が)空かなかった」

Race Playback

レース展開6
1深谷後位で8岡村が粘って、6吉田と併走
レース展開7
7新田が追い上げて、絶好の3番手をキープ
レース展開8
1深谷の仕掛けに合わせて、7新田もまくる

レース経過

誘導員 : 小林大介

 号砲が鳴ると、別線の様子をうかがいながら渡邉が誘導員を追いかける。そこに新田を迎え入れ、渡邉後位には成田が続く。以下隊列は、単騎の岡村、浅井―椎木尾、深谷知広―吉田敏洋―金子となって周回を重ねる。
 レースが動きはじめたのは青板前から。岡村が深谷の上昇に合わせて前に出ると、押さえにきた愛知勢の番手で粘る。これを見た浅井が、青板の3コーナーで深谷を叩く。新田は、すかさず浅井を追いかけると、口の空いた3番手に降りて好位を確保。深谷は6番手で打鐘を通過する。後続の出方をうかがってペースを緩めていた浅井だったが、徐々にピッチを上げて先行態勢に入った。深谷は打鐘の2センターから巻き返しにいくも、最終ホームで踏み出した新田に合わされて不発に終わる。新田は抜群のスピードで浅井ラインをひとまくりすると、バックではライン3人で出切る。新田の仕掛けに続いた番手の渡邉は冷静に別線の動きを確認した後、ゴール前で余裕を持って差し切り。オールスターに続き、G1連覇を達成した。新田が2着。3着にも成田が入り、福島トリオで上位独占の結果となった。

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