最後の記念覇者は佐藤博

佐藤博紀
500バンクとして最後の千葉記念。まくり切った山中と、その後ろから迫る佐藤とでゴール線は横並び。“最後の戦い”にふさわしい白熱のゴール前勝負は、僅かに交わした佐藤に軍配が上がった。
「どこかいけるところからいって。ダメならしょうがないと。山中君の方が勢いがあったので、外だし届いているかわからなかったです。特別競輪のようなメンバーだし、信じられないですね」
相手は4車で結束した地元勢に、GP覇者の村上、記念100V目を狙う神山など強豪ぞろい。それでも、臆せず立ち回って驚きのV。3連単20万円の高配当を演出した。さらに、激戦の中で収穫も得た。
「スタートで一斉に出たら、前に村上さんがいて。半分任せたみたいになってしまったんですけど、大先輩(村上)の背中を見て走って、勉強になりましたね。グランプリに乗る人は走り方が違う。一人でも積極的に動かないと。あのくらいの気迫はなかったですし、見習うべきですね」
S級初制覇をまさかの記念開催で奪取。しかし、おごることなく先を見据える。
「このスタイルで調子がよくなったので、このままいきたいと思います。まだF1も優勝していないですし、そこが引っかかっているので。一からまた頑張ります」
勝負に徹した山中だったが、最後の千葉記念を笑顔で飾れず。
「お客さんが求めていた結果とは違ったかもしれません。わがままを言わせてもらって勝負したくて。もうどうだったかは覚えてません。とにかく出切れるようにと思ってました」
中村が3着に突っ込む。こちらもVこそ逃したが、精神的支柱として地元勢をきっちり束ねた。
「山中は山中の走りをしたし、みんな出し切って負けたので。自分たちの力が足りなかった。また次に向かう糧にしたいです」
5着の村上は、単騎ながら力勝負で見せ場をメイクした。
「できることをやった。いい位置をとって、自分の中で最高の展開にもっていったけど。あとは脚ですね。また出直してきます」
山中に離れた海老根は「情けない。離れてしまって。付いていければ、みんなにチャンスがあったのに…」とガックリ肩を落とす。