重圧もなんのその

脇本雄太
20年、東京五輪。2年先の夢舞台を見つめる脇本が、ファンの期待に違わぬ圧巻のパフォーマンスで4度目の地元記念を獲った。
「緊張しました。近畿地区でひとりっていう心配もあった」
脇本後位で競り込まれた村上博、昨年の決勝で前を委ねた後輩の野原雅がともに準決で散った。重圧と向き合いながら、脇本は近畿でただひとり決勝に進出。地区は違えど連係実績もある中川と2人に車券の人気も集中した。
「あんなオッズって。自分にかかるプレッシャーがどれくらいのものか…。(中川)誠一郎さんは絶対に付いてくる。かと言って、自分のスタイルを崩すわけにはいかない。それで負けたくなかった」
山崎が一気に主導権を奪いに出ると、後方にいた脇本も瞬時に反応する。エンジンに点火すると臆することなく山崎を叩いて先行。自らの勝負哲学を貫いた。
「結果を出せば次にもつながるし、とりあえずひと安心ですね」
三谷竜のG1連覇に大きく貢献したダービー、高松宮記念杯では、脇本自身も連続の表彰台。記念Vで賞金を上積みして初のグランプリ出場にグッと近づいているものの、脇本はもっと先を見据える。
「地元記念の優勝も大きい目標だけど、もっと先を見た戦いが始まっている」
五輪の出場権獲得に向けたポイント争いもすでに始まり、日の丸を背負う脇本にとってはこれからの2年が正念場。ファンの後押しが、脇本にさらなる力を与える。
中川は脇本との1車身を保ってそのまま2着でゴールした。
「誰かが行ったら、ワッキー(脇本)も行くって言ってた。だから、ザキ(山崎)が切りに行ったんで、ここからワッキーも全開かよって。それを考えたら自分は憂うつになりましたよ(笑)」
赤板2角から一気に踏み出した山崎が積極策。脇本のスピードには屈したが、成田との息の合ったコンビプレーで健闘。3着に踏ん張った。
「自分が行って、(脇本が)油断してくれてたらラッキーだなと。それか(自分たちに)付いて来てても、誰かがワッキーを張ってくれないかなと。でも、油断してなかったですね。自分は負けはしましたけど、やることはやった」