中川誠が2年ぶりに地元V
「1年で1番気持ちの入る大会」。地元の冠の付いた大一番に集中力を最大限に研ぎ澄ました。ゴール寸前で平原をとらえての優勝。劇的なドラマの演出に会場は大いに沸いた。中川が主役の座を全うし、2年ぶりの地元記念V奪還に成功した。
「ビジョンを見ても優勝したかわからなかったです。敢闘門に帰って来てから、みんなに言われて確信しました。今年の記念は、すごい良い成績を残せていますね」
準決では新山にまくりを合わされる苦しい展開も、「いつもなら飛んでいるんですけど、気持ちで」と懸命に踏み続けて3着。「あの準決を凌げたのが大きい」。窮地を乗り越えたことで、決勝は冷静に組み立てた。初手で想定外の後ろ攻めとなったが、動かずに戦況を見極める。
「スタートで、みんなが出てびっくりした。中団は取れるかなと思ってたけど。でも、結構冷静でしたね。一瞬切るか迷ったけど、新山のやる気が伝わってきたので動かなかった」
中川の予想通り、前受けの新山は横山を突っ張って先行策に出る。中団から再び仕掛けた横山が不発に終わると、番手の平原が自力に転じた。この動きに中川はすぐさま反応。溜めた脚力をバックから一気に爆発させる。上がりタイム10秒8の好ラップで別線を力でねじ伏せた。
「神山さんが離れているのも見えていたし、平原がまくっていくのも見えていました。勝負はここしかないと。ギリギリでしたね」
熊本地震から2年半。ホーム熊本バンクの再開の日を待ちわびながら、上位との激しい戦いを続ける。
「まだ熊本を走るまで時間はかかる。そこまでが復興なので。その日まで食らい付いていきたいですね」
平原は3コーナーから自力に転じてまくるも、中川に屈して準V。
「中川さんはサラ脚だったし、スピードが違いましたね。(佐藤)慎太郎さんとぶつかって、スピードが死んでしまった。(勝てなかったのは)その分ですね」
芦澤が平原に続いて3着。
「中川さんが切らないことに気付くのが遅かった。新山君も強いですから(中川さんが切らなければ)あの形になりますよね」。
新山は想定通りの展開をメイクしたが、別線に飲み込まれて6着。
「突っ張りも含めて前を取りました。自信がないから踏み過ぎたかも。もっと練習をしないとダメですね」