平原康に強力包囲網
当初のあっせんから18人が入れ替わったが、平原康多がしっかりレースの主役を担ってくれよう。オール予選の共同杯では初日に薄氷を踏む思いの4着で勝ち上がりとなったが、二次予選からはきっちりと修正した。そして決勝は山崎賢ら若手の挑戦を退けて9度目のビッグVを手にした。スピード化が進む輪界の流れに遅れを取ることなく、常に進化を続けている。「怪我もそうですけど、いろいろ試行錯誤して失敗の繰り返しだった。そんな中で結果がひとつ残せて良かった」。続く親王牌も貫禄の決勝3着。これで6年連続9回目のグランプリ出場はより確実なものとなったが、脇本雄との力差を改めて見せつけられただけに、まだまだ先を見据えて立ち止まっていられない。持ち味である隙のない自在戦で5月京王閣以来の記念Vをつかむ。芦澤大輔も8月函館で落車したが、続く立川、四日市を連続準V。さらに、9月弥彦は金子幸の先行を利して今年2V目と、キメ脚に陰りはない。平原を献身的に援護して、ゴール前勝負。親王牌では山田英明らを相手に二次予選Bを勝って古豪健在を示した神山雄一郎、共同杯で積極策が目立ち、親王肺でも連対あった横山尚則らも関東を盛り立てる。
地元地区の九州勢も強豪ぞろい。今年序盤こそ一息だった中川誠一郎だが、5月名古屋記念の準Vから流れが一変。6月宇都宮記念では初日にバンクレコードを更新するなど、スピードを存分に生かして制覇。その後も8月松戸記念を制し、共同杯も負け戦ながら3連勝、親王牌も2日目のローズカップを制覇するなど好調をキープしている。地元の代表として今年はVを譲れない。中川に前を任されることも考えられる山田も争覇級の実力者。共同杯は、山崎との連係で今年3度目となるビッグ優出。一年を通して最前線で奮闘していて、今や九州を代表するオールラウンダーだ。ここに中川と共に地元の松岡貴久、松川高大らも加わって強力ラインを結成する。
昨年大会の覇者・古性優作の連覇も十分。強豪ぞろいの近畿勢においても、埋もれることなく存在感を放っている。今年は2月静岡記念をVに、2度のG1優出とタイトル争いにも参加。共同杯、親王牌と続けて準決敗退と悔しい思いをしただけに、ここは一層燃えるものがある。自力でも強いし、積極的な石塚輪太郎、中西大や、9月向日町記念を制して復活アピールの藤木裕まで勝ち上がってくれば勝機は広がる。
南関勢も侮れない勢力。中村浩士はオールスターを優出、親王牌は3度の確定板入りと、G戦線でも好成績を残している。実力だけでなく精神的支柱としても南関選手を鼓舞する。弟子の根田空史との信頼のタッグで他地区に対抗していく。
新山響平を先導役に、親王牌で1年8カ月ぶりにG1決勝の舞台に立った佐藤慎太郎、和田圭で組む北勢も戦力は整っている。新山が本領を発揮なら。