地元で悲願達成
松浦が地元でついに男になった。前を任せた三谷が打鐘からの仕掛けで小松崎を叩き切ると、4コーナーを絶好の番手回り。訪れたチャンスを今年は逃さなかった。
「三谷さんが頑張ってくれました。力勝負に行ってくれて、すごい強かったです。あとは後ろの選手がどこから来るかをしっかり見極めて」
一昨年大会は番手で最終バックを通過したが原田研のまくりに屈し、昨年は準決勝で落車(滑入で6着)。地元記念では何度も悔しい思いを味わってきた。「桑原(大志)さん、清水(裕友)の優勝を一緒のレースで見れた。次は自分の番だと思ってたし、気負うことなくできた」。今年は地元のプレッシャーに潰されることなく、先頭でゴール線を駆け抜けた。
広島勢による優勝は49周年後節の藤井久之以来、17年ぶり。しかも記念初優勝だったが、「ギリギリ」で涙はこらえた。これで大きな目標のひとつは達成した。次に目指すのは暮れの大一番グランプリだ。「近い位置にはいると思う。少しずつ自分も階段を上がっていきたいなと思う」。最後まで晴れやかな表情が印象的だった勝者インタビュー。来年からは輪界最高峰への挑戦がはじまる。
山崎のアシストで3番手に入った小松崎だったが、もはやそこから仕掛ける脚は残っていなかった。
「ああなったら先行しようと思ったけど、(三谷に)行かれてしまった。3番手に入って余裕はなかったです。いっぱいでした。ただ前を追いかけただけです」
3着の山崎だが1センターで吉澤の巻き返しを封じるなど、番手の役割はしっかりと果たした。
「絶対に竜生は来るなと思ってたけど、4コーナーの下りだった。でも後ろが空いてたんで入れてやろうと思った。勝つにはバックから切り替えて行くしかなかったけど、まだ2人でチャンスはあった。競輪はしたかなと思います」
三谷はシリーズをとおして小細工なしの真っ向勝負。グランプリに向けて4日間、力は出し切った。
「流れのなかで行けるところからと思ってたけど、タイミングが来たんで。少し流せば誰かに来られるので流せなかったけど、末がもう少しでしたね。せめて3着までには残りたかった」