瞬時の判断で自力にチェンジ
思いもよらないアクシデントだった。清水裕友が押さえて先頭に立つと、鈴木庸之と郡司浩平が3番手併走。郡司に接触した鈴木庸が赤板2コーナーでズルズルと後退。まさかの車体故障だった。
「あそこを郡司に入られそうになったけど、すぐに気持ちにスイッチが入りました。スパッと行けたんで、あの位置に入れた」
鈴木庸の故障を察知した平原康多は、郡司に割り込まれることなく瞬時に前々に踏む。併走を嫌うように郡司が清水を叩いて主導権。まくり展開を呼び込んだ。
「(鈴木)竜士にもチャンスがあるようにと思ってた。それであの仕掛けになった。近藤(保)君が外に浮いててタイミングが難しかった。正直、内藤(秀久)さんを越えるので精いっぱいだった。無我夢中ででした」
ラインの目標を失ってもパニックに陥ることなくさすがの対応力を見せた。最終2コーナーから踏み込んでS級S班のライバル2人をのみ込んだ。
「(決勝は目標があったけど、シリーズ3日間は自力で戦って)そのおかげでしっかり気持ちを切り替えられた。グランプリが終わってから全然、気持ちを切らさずいけたのがいい方向にいった。デキすぎくらい(21年の)いいスタートですね」
初日特選は圧巻の先行策を披露して鈴木竜とワンツー。昨年末のグランプリでは悩んだ末に他地区の脇本雄太をマークしたが、逃げてもいまだ超一流であることを証明した。14、18年に次いで3度目の立川記念制覇で弾みをつけ、次は14日からのホームバンクシリーズ。8度目の大宮記念Vの期待がかかる。
「地元だからどうとかはない。どこを走っても一戦、一戦全力でやっている。埼玉も若い選手が出てきているので、バックアップをしてきたい」
平原ここにあり。今年も関東地区は、平原を中心に動いていく。
清水は平原のまくりにかぶって仕掛けられない。桑原大志は清水のアクションをギリギリまで待って、最終4コーナーからさすがのコース取りで2着に入った。
「まずは(清水)裕友の優勝って思ったので、待てるだけ待ってから踏みました。もう外は無理だと思ったし、なんとか(上位に)食い込もうっていう気持ちでした。(自分の状態が)上がってきているので、このまま気を引き締めて、もう1回上のステージでっていう気持ちです。要所、要所で足りないところもみえたんで、それをトレーニングで埋めていきたい」
最終2センターで清水に張られた鈴木竜士は、平原とのワンツーならずの3着。記念初優勝もお預けになった。
「平原さんは(最終)バックか3コーナーくらいで行くのかと思ってたけど、気を遣ってくれて早めに仕掛けてくれたんだと思う。ただ、加速が強烈でした。付いていければワンツーだった。(車券が平原と自分で)売れてたんですけど、僕の力不足です」