古性優作が念願のタイトルを獲得
「夢みたいですね。うれしかった」
16年の寬仁親王牌で初めてG1のファイナルの舞台に立った古性優作が、7度目の決勝でタイトルをつかみとった。
今年から6日制に変わったオールスターは、5走をしなければ優勝にたどり着けないサバイバルシリーズ。古性は村上義弘とワンツーを決めたオリオン賞からスタートした。
「S級S班で選ばれたんじゃなくて、S級1班でファン投票でオリオン賞に選んでいただいた。本当にファンのみなさんのおかげで最高のスタートが切れると思ったので、なんとかその期待に応えたいっていう思いだった」
オリオン賞に続いて、一次予選2でも近畿の後輩の奮闘で4日目は、準決フリーパス(失格以外)の「シャイニングスター賞」に進出した。そこではまくりで再び村上義弘とワンツー。準決は3着ながらも3度目のオールスター決勝のキップを手にして、今シリーズ初めて脇本雄太とのタッグを組んだ。
3年前の当所のオールスターでは「自分の判断ミスですね」と、優勝した脇本との連結を外して6着。昨年の名古屋オールスターでは脇本と松浦悠士の壮絶なデッドヒートでVチャンスが訪れたが、2人をとらえ切れずに3着で涙をのんだ。
「脇本さんを差すことを目標にしていた時期もあったんですけど、その時にはほかの地区の選手たちは脇本さんを自力で倒す準備をしていた。自分は差すことを考えていて、力の差がどんどん開いていくのがわかりました。去年も高松宮記念杯で自力でもしっかり先輩方を連れていけるような選手になれたら、もっと決勝戦で僕たちが戦いやすくなるんじゃないかと。それから(脇本と)別になってもしっかり戦えるように、そういう意識が変わった。それがこうやって連係した時に信頼していただいて、早めから仕掛けていただいてっていう結果になったのかなと」
単騎の深谷知広に乗った脇本がその上を叩いて打鐘で主導権を握って出る。近畿勢の照準を絞るように出切った脇本、古性のあとに平原康多が続いた。
「平原さんが内にいるのはわかったし、しゃくられないように。新田(祐大)さんが仕掛けてきて、自分がそれをどういうふうにカバーするかっていうのを考えてました。うまいこといったと思ったんですけど、最後は脇本さんが粘ってくれただけです」
最終バック手前からまくった新田、真後ろの平原、どちらにも隙を与えない絶妙な間合いで直線を迎えた。わずかに脇本が失速したものの、古性が交わしたところがゴール。脇本マークでチャンスをモノにできなかった過去2度のオールスターと同じ舞台で、脇本とのワンツーでG1制覇を遂げた。
11年にデビュー。G1制覇を目標に掲げて、同地区の村上義弘の背中を追いかけた10年でもあった。
「僕のなかでは村上義弘さんの存在がすごい大きい。村上さんに追いつくことはできないと思うんですけど、少しでも近づいていけるように。村上さんのレースを見て成長できて、こういう結果につながったのかなと思います。たまたまと言われないように、気持ちを新たにまた頑張りたいと思います」
近畿のなかでも、すでに大きな存在となっていた古性が、手にした1つ目のタイトル。これからも仲間とともに戦い抜くスタイルに変わりはない。
東京五輪から中ゼロでの強行なローテーションで臨んだ脇本雄太だったが、新田とともに決勝に進出。Vこそならなかったが、競輪でも強い脇本を披露した。
「いつもの自分だったら(深谷が仕掛けた)あそこは見送って、自分のタイミングで行くんですけど。昨日(準決)のこともあったんで、立ち遅れるわけにはいかないっていうので、ああいうレースになった。現状、自分ができることをやった。ラインが2車で古性君との信頼が、ああいう戦い方を生んだ。ラインで決めたいっていうのは、僕自身、常に絶対にある。それが今日に関してはできた。日本の競輪はこういう感動があるからやめられない。体は疲れてたけど、近畿のみんなとレースができて、お帰りって迎えてもらった。ワンツーで最高の形だった」
新田ライン3番手の守澤太志は、直線で外を伸びて3着。
「新田がすごいレースをしてくれた。追い上げたところとかもすごかった。自分は(佐藤)慎太郎さんが内に踏んでくれたので、外を伸びた感じですね。2分戦ですし、ああなるかなと。すごいレースでした。やっぱり新田君と脇本君が戻ってくるとレースが変わりますね」